この度は、競技空手の足さばき(歩法・運足)について。
空手は、多岐にわたる立ち方は、よくまとまっているのだが、足さばきが意外にまとまったページがなかったので。
剣道と空手の基本の構えは逆です。剣道は右足が前、空手は左足が前。近代、空手は、両方の構えを駆使するようになりました。
足さばきは、非常に似ています。
イラストを作成し、主要な3つ+1つ(オマケ)を以下のように示してみました。
※2020年11月6日追加 ※クリックで拡大
空手の足さばきイラストPDF版少しコメント追加
→出力しても鮮明だと思います。また、イラレで修正できるので、是非、ダウンロードしてご活用ください。
それぞれの解説です。
1. 歩み足
歩み足とは、日常の歩き方と同じです。空手の場合、追い突きの時に用いる他、近年では、スイッチ攻撃の時にも用いられます。
意外に、投げ技にも活用できる足さばきだったりもします。
ちなみに、昔は、和道の組手では、よく見られた足さばきですが、近年、主に利用されるのは、逆上からの逆突き逆突きの2本目での足さばきで、歩み足から逆突きで使用する時でしょう。
2. 送り足/寄り足
移動する方向に対して、近いほうの足を先に動かします。例えば、左足が前の構えの場合、前に進む時は、左足(前足)を先に動かし、その後に右足(後足)を左足(前足)にひきつけます。空手でも、最も多く使う足さばきです。
※近年の空手は、基本、後足は、前身と同時に、寄せられており、実は、送り足だが、送り足だとわからないケースがほとんど。
多く使う理由は、間合いを細かく詰めたり取ったりするための主たる足さばきだからです。
近年、競技空手では、四股立ちの真半身の構えが主流となりつつあります。左右の幅がないだけで、基本的な足さばきは同じです。
なお、送り足も進化し、四股立ちから両足で蹴る足さばきになっているので、この足さばきを送り足としないのであれば、送り足の足さばきも消えつつあると言えるのかもしれませんね。
小学生の指導を行っていてわかること:
相手に攻撃が届かない子供達の多くは、この送り足の足さばきができていません。間が詰めれない。一方、剣道経験者の子供達は、この足さばきができ、かつ最初から逆構えなので、空手の試合でも短時間で勝てちゃうケースもあります。
まぁ、剣道も基立ちなので、近年は、四股立ちへの変更が必要になるので、逆に剣道での癖が邪魔しちゃうケースも出てきていますけどね・・・。
あと、弱小チームほどできていない。強くなるためには、送り足から始め、より多くの足さばきのマスターは必須。でも、過去の私も含め、多くの指導者は、灯台下暗しで気が付きにくいです。
まぁ、今の時代、強豪チームなどは、両足で蹴る四股立ちステップを行うので、その方が間の詰め方を覚えやすいのでしょうね。
私も、白帯さん黄帯さん達には、四股立ちステップで前進しながら、間合いに入ったら膝の力を抜いて飛び込むという稽古方法を行うようになりました。
3. 継ぎ足(寄せ足)
後足を前足近くまで引き付け、飛び込みます。送り足で近づかなくても、後足を引き付けることで勢いが付くので、遠間に高速の攻撃が可能です。
近年の空手では、状態をブラさず前足に隠したり、送り足の移動に隠して用いられています。世界チャンピオンの多くが活用している技術です。
でも、特に、四股立ちステップが主流の日本では、利用する人も減っていると思います。まぁ、私は、変則的に用いていますが。
ちなみに、私は、男性より脚力が弱い女性や子供(高学年未満)は、必須の足さばきだと考えています。
なお、今、最も継足が使われるケースは、前足の回し蹴りの時でしょう。
コンパクトに継いで蹴ったり、大きく継いで遠くから蹴るというケースも良く見られます。
4. 開き足
身体を左右にさばく時に使います。開き足はスムーズに身体の向きを変えることができ、身体全体で相手の攻めをかわしたり、違った角度で相手を攻めるのに有効です。
柳生神影流等の古流剣術の体捌きを加えて創始されている和道流には、潰し・抑えの技術同様、体裁きの技法として多く存在する足さばきです。
西村誠司先生の動画には、開き足の足さばきも紹介されています。
西村拳選手のお父さんです。和道流。
その他の足さばき
空手には、足技(蹴りや足払い)があるため、剣道にない足さばきも存在します。
例えば、その場でのスウィッチです。
前後の足を同時に入れ替えたり、前後して間合い調整しながら攻撃できるよう入れ替えたりします。
近年、国際化の影響もあり、様々な形でスウィッチする選手が増えて来たので、競技空手の攻撃バリエーションも多彩になってきています。
私も、刻み突きなどの後に追ってくるのを、スウィッチバックして裏回しで合わせたりします。
今や、刻み突きの後に安全ゾーンを確保するため必ずスウィッチする選手もいる時代ですからね。スウィッチは、勝っていくために不可欠な足さばきです。
また、近年、、両足で蹴って飛び込み、後足の着地と同時に蹴る、跳ぶようなスライド回し蹴りの技術が一般化し始めています。
松濤館流の騎馬立ちからの横蹴り(蹴上げと蹴込み)がベースになっていると考えています。交差立ちの時間が極端に短い動きです。
名前はないと思いますが、蹴りに特化した足さばきです。
これも空手(競技空手)特有の足さばきかな?と思う特殊な足さばきもあります。
前足の回し蹴りなどに用いられる軸足の回転によるスライド移動です。
間を詰めながらのフェイントとして、用いられる場合もあります。
上記2つの足さばきは、蹴りのポイントが大きくなり、前足の蹴りが多用されるようになったため、進化して生まれた足さばきなのかもしれません。
競技空手では、これら足さばきが主に活用され、近年は、足さばきも進化し、送り足に継ぎ足を隠す足さばきが中心になりつつあると思います。
ボクシングに近い部分も存在します。
私は、(平行立ちに近い)真半身の構えと継ぎ足を20年前の大学生時代から活用しており、手は短いけど遠間から攻撃できたので、試合を有利に進めることができておりました。それが常識となりつつある今、嬉しい反面、非常に困るなぁと思っていたりもしています。
【お知らせ】
2020年11月6日に微修正
2022年6月14日に修正
2022年6月15日に空手足さばきイラストPDF版を追加
空手は、多岐にわたる立ち方は、よくまとまっているのだが、足さばきが意外にまとまったページがなかったので。
剣道と空手の基本の構えは逆です。剣道は右足が前、空手は左足が前。近代、空手は、両方の構えを駆使するようになりました。
足さばきは、非常に似ています。
イラストを作成し、主要な3つ+1つ(オマケ)を以下のように示してみました。
※2020年11月6日追加 ※クリックで拡大
空手の足さばきイラストPDF版少しコメント追加
→出力しても鮮明だと思います。また、イラレで修正できるので、是非、ダウンロードしてご活用ください。
それぞれの解説です。
1. 歩み足
歩み足とは、日常の歩き方と同じです。空手の場合、追い突きの時に用いる他、近年では、スイッチ攻撃の時にも用いられます。
意外に、投げ技にも活用できる足さばきだったりもします。
ちなみに、昔は、和道の組手では、よく見られた足さばきですが、近年、主に利用されるのは、逆上からの逆突き逆突きの2本目での足さばきで、歩み足から逆突きで使用する時でしょう。
2. 送り足/寄り足
移動する方向に対して、近いほうの足を先に動かします。例えば、左足が前の構えの場合、前に進む時は、左足(前足)を先に動かし、その後に右足(後足)を左足(前足)にひきつけます。空手でも、最も多く使う足さばきです。
※近年の空手は、基本、後足は、前身と同時に、寄せられており、実は、送り足だが、送り足だとわからないケースがほとんど。
多く使う理由は、間合いを細かく詰めたり取ったりするための主たる足さばきだからです。
近年、競技空手では、四股立ちの真半身の構えが主流となりつつあります。左右の幅がないだけで、基本的な足さばきは同じです。
なお、送り足も進化し、四股立ちから両足で蹴る足さばきになっているので、この足さばきを送り足としないのであれば、送り足の足さばきも消えつつあると言えるのかもしれませんね。
小学生の指導を行っていてわかること:
相手に攻撃が届かない子供達の多くは、この送り足の足さばきができていません。間が詰めれない。一方、剣道経験者の子供達は、この足さばきができ、かつ最初から逆構えなので、空手の試合でも短時間で勝てちゃうケースもあります。
まぁ、剣道も基立ちなので、近年は、四股立ちへの変更が必要になるので、逆に剣道での癖が邪魔しちゃうケースも出てきていますけどね・・・。
あと、弱小チームほどできていない。強くなるためには、送り足から始め、より多くの足さばきのマスターは必須。でも、過去の私も含め、多くの指導者は、灯台下暗しで気が付きにくいです。
まぁ、今の時代、強豪チームなどは、両足で蹴る四股立ちステップを行うので、その方が間の詰め方を覚えやすいのでしょうね。
私も、白帯さん黄帯さん達には、四股立ちステップで前進しながら、間合いに入ったら膝の力を抜いて飛び込むという稽古方法を行うようになりました。
3. 継ぎ足(寄せ足)
後足を前足近くまで引き付け、飛び込みます。送り足で近づかなくても、後足を引き付けることで勢いが付くので、遠間に高速の攻撃が可能です。
近年の空手では、状態をブラさず前足に隠したり、送り足の移動に隠して用いられています。世界チャンピオンの多くが活用している技術です。
でも、特に、四股立ちステップが主流の日本では、利用する人も減っていると思います。まぁ、私は、変則的に用いていますが。
ちなみに、私は、男性より脚力が弱い女性や子供(高学年未満)は、必須の足さばきだと考えています。
なお、今、最も継足が使われるケースは、前足の回し蹴りの時でしょう。
コンパクトに継いで蹴ったり、大きく継いで遠くから蹴るというケースも良く見られます。
4. 開き足
身体を左右にさばく時に使います。開き足はスムーズに身体の向きを変えることができ、身体全体で相手の攻めをかわしたり、違った角度で相手を攻めるのに有効です。
柳生神影流等の古流剣術の体捌きを加えて創始されている和道流には、潰し・抑えの技術同様、体裁きの技法として多く存在する足さばきです。
西村誠司先生の動画には、開き足の足さばきも紹介されています。
西村拳選手のお父さんです。和道流。
その他の足さばき
空手には、足技(蹴りや足払い)があるため、剣道にない足さばきも存在します。
例えば、その場でのスウィッチです。
前後の足を同時に入れ替えたり、前後して間合い調整しながら攻撃できるよう入れ替えたりします。
近年、国際化の影響もあり、様々な形でスウィッチする選手が増えて来たので、競技空手の攻撃バリエーションも多彩になってきています。
私も、刻み突きなどの後に追ってくるのを、スウィッチバックして裏回しで合わせたりします。
今や、刻み突きの後に安全ゾーンを確保するため必ずスウィッチする選手もいる時代ですからね。スウィッチは、勝っていくために不可欠な足さばきです。
また、近年、、両足で蹴って飛び込み、後足の着地と同時に蹴る、跳ぶようなスライド回し蹴りの技術が一般化し始めています。
松濤館流の騎馬立ちからの横蹴り(蹴上げと蹴込み)がベースになっていると考えています。交差立ちの時間が極端に短い動きです。
名前はないと思いますが、蹴りに特化した足さばきです。
これも空手(競技空手)特有の足さばきかな?と思う特殊な足さばきもあります。
前足の回し蹴りなどに用いられる軸足の回転によるスライド移動です。
間を詰めながらのフェイントとして、用いられる場合もあります。
上記2つの足さばきは、蹴りのポイントが大きくなり、前足の蹴りが多用されるようになったため、進化して生まれた足さばきなのかもしれません。
競技空手では、これら足さばきが主に活用され、近年は、足さばきも進化し、送り足に継ぎ足を隠す足さばきが中心になりつつあると思います。
ボクシングに近い部分も存在します。
私は、(平行立ちに近い)真半身の構えと継ぎ足を20年前の大学生時代から活用しており、手は短いけど遠間から攻撃できたので、試合を有利に進めることができておりました。それが常識となりつつある今、嬉しい反面、非常に困るなぁと思っていたりもしています。
【お知らせ】
2020年11月6日に微修正
2022年6月14日に修正
2022年6月15日に空手足さばきイラストPDF版を追加