先日、受理されておりました水田教授のサケ鼻軟骨由来非変性Ⅱ型&Ⅺ型コラーゲンの論文が公開されましたので、ページに論文要旨のURLを追記いたしました。
通常の魚類や軟骨魚類には、Ⅺ型コラーゲンがこれほどまでに含まれておらず、そのため、Ⅺ型コラーゲンはマイナーコラーゲンや希少コラーゲンと呼ばれていました。この論文において、Ⅺ型コラーゲン量の多さは、サケ鼻軟骨特有であることが紹介されています。
【裏話】
実は、この事実は、鮭鼻軟骨抽出物の非変性Ⅱ型コラーゲンを機能性関与成分とした機能性表示食品化を進めていた時、定量分析の方法確立の段階で明らかになりました。
そして、これが明らかになったのは、ちょうど、鮭鼻軟骨抽出物のヒト臨床試験中。プラセボ・プロテオグリカン・非変性コラーゲンの3群で試験を実施していました。
そのため、急遽、論文も、3群の試験結果報告を2群・2群の試験結果報告に変更することになってしまいました。
まぁ、こういった経験は、なかなか珍しいことだと思います。
鮭鼻軟骨のコラーゲン型の学説が変わっちゃうんですから・・・。
Characterization of collagen in salmon nasal cartilage: enzymatic solubilization with fungal acid protease
Abstract
Atelocollagen was prepared from salmon nasal cartilage by limited digestion with an acid protease from a fungus Rhizopus niveus, and was referred to as Rhizopus acid protease-solubilized collagen (RSC). More than 60% of total collagen was recovered as RSC by the enzymatic treatment for 48 h at 4 °C. The RSC exhibited a main α-band, corresponding to α1(II) chain, and two minor α-bands with slower mobility than that of the main band on SDS-PAGE. Ammonium sulfate fractionation was applied to the RSC using 0.5 M acetic acid containing 11% (w/v) (NH4)2SO4 to fractionate collagen types in it. The insoluble fraction (P-11) showed SDS-PAGE pattern similar to that of the RSC. Furthermore, the fraction that was soluble at 11% (NH4)2SO4 and then recovered by salting out with 20% (NH4)2SO4 (S-11 fraction) showed three α-bands on SDS-PAGE with a staining intensity ratio of 1:1:1, amino acid composition characteristic of type V/XI collagen family, and relatively poor in alanine and rich in hydroxylysine when compared with vertebrate type I collagens. These results suggested that the S-11 fraction mainly contained Type XI collagen with a chain composition of α1(XI) α2(XI) α3(XI).
Fisheries Science 2023
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サケ鼻軟骨のコラーゲンの特性評価: 真菌酸プロテアーゼによる酵素可溶化
要旨
アテロコラーゲンは、真菌 Rhizopus niveus 由来の酸性プロテアーゼによる限定消化によってサケの鼻軟骨から調製され、Rhizopus 酸性プロテアーゼ可溶化コラーゲン (RSC) と呼ばれました。 4℃で48時間の酵素処理により、総コラーゲンの60%以上がRSCとして回収されました。 RSC は、α1(II) 鎖に対応するメインの α バンドと、SDS-PAGE 上のメイン バンドよりも移動度が遅い 2 つのマイナーな α バンドを示しました。 11% (w/v) (NH4)2SO4 を含む 0.5 M 酢酸を使用して硫酸アンモニウム分別を RSC に適用し、その中のコラーゲン タイプを分別しました。 不溶性画分 (P-11) は RSC と同様の SDS-PAGE パターンを示しました。 さらに、11% (NH4)2SO4 で可溶で、20% (NH4)2SO4 で塩析して回収した画分 (S-11 画分) は、SDS-PAGE 上で染色強度比 1 の 3 本のαバンドを示しました。 1:1、V/XI 型コラーゲンファミリーに特徴的なアミノ酸組成、脊椎動物の I 型コラーゲンと比較すると、アラニンが比較的少なく、ヒドロキシリシンが豊富です。 これらの結果は、S-11 画分には、α1(XI) α2(XI) α3(XI) の鎖組成を有する XI 型コラーゲンが主に含まれていることを示唆しました。
通常の魚類や軟骨魚類には、Ⅺ型コラーゲンがこれほどまでに含まれておらず、そのため、Ⅺ型コラーゲンはマイナーコラーゲンや希少コラーゲンと呼ばれていました。この論文において、Ⅺ型コラーゲン量の多さは、サケ鼻軟骨特有であることが紹介されています。
【裏話】
実は、この事実は、鮭鼻軟骨抽出物の非変性Ⅱ型コラーゲンを機能性関与成分とした機能性表示食品化を進めていた時、定量分析の方法確立の段階で明らかになりました。
そして、これが明らかになったのは、ちょうど、鮭鼻軟骨抽出物のヒト臨床試験中。プラセボ・プロテオグリカン・非変性コラーゲンの3群で試験を実施していました。
そのため、急遽、論文も、3群の試験結果報告を2群・2群の試験結果報告に変更することになってしまいました。
まぁ、こういった経験は、なかなか珍しいことだと思います。
鮭鼻軟骨のコラーゲン型の学説が変わっちゃうんですから・・・。