今回は、ジオスゲニンとサーチュイン活性に関連する論文を2本立てで紹介です。

まずは、代表的なサーチュイン、SIRT1のシグナル伝達経路をジオスゲニンが活性化して軟骨細胞の分解を抑制するという報告です。



Sirtuin type 1 signaling pathway mediates the effect of diosgenin on chondrocyte metabolisms in osteoarthritis

Abstract

To observe the effect of sirtuin type 1 (SIRT1) signaling pathway on chondrocyte metabolism and mitochondrial oxidative stress, to explore roles of SIRT1 signaling pathway and diosgenin (Dgn) in pathogenesis of osteoarthritis (OA). Methods: To establish C57BL/6 mouse (13.5-18.0 g) model of OA. The chondrocytes were randomly assigned into 4 groups: an OA group, a Dgn+OA group, a Dgn+Sirtinol+OA group, and a Sirtinol+OA group. Expressions of SIRT1, acetylation-regulated transcription factor 1 (Ac-FOXO1), and Bax were detected in the 4 groups by Western blot. Changes in levels of succinate dehydrogenase, cytochrome C oxidase, and superoxide dismutase of mitochondrion in the 4 groups were observed. Results: Compared with the OA group, SIRT1 protein expression was increased in the OA+Dgn group (P<0.05), while the Ac-FOXO1 and Bax protein expressions were decreased (P<0.05), the SDH and COX expressions were decreased, and the SOD content was decreased (P<0.05). Compared with the OA+Dgn group, the SIRT1 expression in the OA+Dgn+Sirtinol group and the Sirtinol+OA group was increased (P<0.05), while the Ac-FOXO1 and Bax protein expressions were decreased (P<0.05). The SDH and COX expressions were decreased, the SOD content was decreased, the SDH and COX expressions were increased, and the SOD content was increased in the OA group (All P<0.05), while those indexes were reversed in the OA+Dgn+Sirtinol group and the Sirtinol+OA group (All P<0.05). Conclusion: The SIRT1 signaling pathway and OA are closely related to changes in chondrocyte apoptosis, in which Dgn may play a protective role in anti-OA by activating SIRT1 signaling pathway to inhibit apoptosis of chondrocytes and to increase chondrocyte mitochondrial oxidative stress capacity.
Zhong Nan Da Xue Xue Bao Yi Xue Ban. 2017;42(2):121-127.
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サーチュイン 1 型シグナル伝達経路は、変形性関節症における軟骨細胞の代謝に対するジオスゲニンの効果を媒介する

要旨

軟骨細胞の代謝とミトコンドリアの酸化ストレスに対するサーチュイン 1 型 (SIRT1) シグナル伝達経路の影響を観察し、変形性関節症 (OA) の病因における SIRT1 シグナル伝達経路とジオスゲニン (Dgn) の役割を調査します。 方法: C57BL/6 マウス (13.5 ~ 18.0 g) の OA モデルを確立します。 軟骨細胞は、OA グループ、Dgn + OA グループ、Dgn + Sirtinol + OA グループ、および Sirtinol + OA グループの 4 つのグループにランダムに割り当てられました。 ウエスタンブロットにより、SIRT1、アセチル化調節転写因子 1 (Ac-FOXO1)、および Bax の発現が 4 つのグループで検出されました。 4つのグループにおけるミトコンドリアのコハク酸デヒドロゲナーゼ、シトクロムCオキシダーゼ、およびスーパーオキシドジスムターゼのレベルの変化が観察されました。 結果: OA グループと比較して、OA+Dgn グループでは SIRT1 タンパク質発現が増加しました (P < 0.05)。一方、Ac-FOXO1 および Bax タンパク質発現は減少し (P < 0.05)、SDH および COX 発現は減少しました。 そして、SOD含有量は減少しました(P<0.05)。 OA+Dgn 群と比較して、OA+Dgn+Sirtinol 群および Sirtinol+OA 群の SIRT1 発現は増加しましたが (P<0.05)、Ac-FOXO1 および Bax タンパク質の発現は減少しました (P<0.05)。 OA 群では SDH および COX の発現が減少し、SOD 含量が減少し、SDH および COX の発現が増加し、SOD 含量が増加しましたが (すべて P<0.05)、これらの指数は OA+Dgn+ では逆転しました。 サーチノール グループおよびサーチノール + OA グループ (すべて P<0.05)。 結論: SIRT1 シグナル伝達経路と OA は軟骨細胞のアポトーシスの変化と密接に関連しており、Dgn は SIRT1 シグナル伝達経路を活性化して軟骨細胞のアポトーシスを阻害し、軟骨細胞のミトコンドリアの酸化ストレス能力を高めることで、抗 OA において保護的な役割を果たしている可能性があります。

ちなみに、本文献は、英語でなく、中国で執筆されているようです。残念。

意外なことですが、ジオスゲニンならびに配糖体のジオスチンは、抗炎症作用も有することから、変形性関節症への効果も期待されており、複数の論文が報告されています。

今回の報告では、作用メカニズムがサーチュイン活性を介したものであると紹介されています。

まぁ、こういった効果がヒトでも示されるのであれば、その摂取目安量も重要になってくるだろう。
現段階において、試験管試験や動物試験しかないので、今後、臨床での検証も必要になってくるだろう。

一方、ジオスゲニンは、非常に吸収率や生物学的利用能が低い成分です。そこを改善した製剤を用いることで、実用性というものも伴ってくると思われます。

何れにしても、プロトコールをまとめているジオスゲニンのヒト臨床試験では、副次評価項目に膝関節のVASも組み込んでいますので、ざっくりとジオスゲニンの膝関節症への影響も評価できればと考えております。

ちなみに、ジオスゲニンの機能性は多岐にわたり、ほんと、古来の漢方書に山薬の説明に書かれている通り、不老長寿の万能生薬だなぁと感じます。
そして、そのメカニズムとして、最先端の科学でオートファジーやサーチュイン遺伝子との関係性も明らかになりつつある。
非常に面白いものです。

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