夏季休業中、最後の記事。

今回は、弊社の原料事業部の品質管理ノウハウの一部を紹介。
そもそも、原料事業を行っていると、稀に受入の微生物検査でロットアウトを示されることがある。主に、植物抽出物や植物粉砕末。
それも、第三者機関や他の工場ではロットアウトが示されないのに、一部の工場でのみ、特異的にロットアウトが示されることがある。

その理由は、タイトルの通り、明らかに試験担当者の癖が原因している。

今回は、より具体的な事例を2つ紹介したいと思う。

まず、標準寒天培地法による一般細菌数の試験だが、一定の手順で実施していても、混釈温度が45~50℃と、米国のように約45℃とピンポイントで温度条件が定められていないため、試験結果に差が生じる。

特に、亜好熱性芽胞菌を多く含む食品だと、試験結果に大きな差が出る。

実際、過去に、供給先の工場で3500個/gでロットアウトしているが、実施された第三者分析機関5機関では、1500~1800個/gと弊社の結果と同じであった。

この検体に対して、後々、戻ってきた原料で好熱性芽胞菌まで検査した結果、3200個/gとロットアウトした工場と類似した結果が示されました。

おそらく、試験担当の癖として、50℃に極めて近い温度で混釈が行われていたり、降温を待たずに検体と混ぜ合わせていたりするのだろう。

まぁ、混釈温度に問題があったことの証拠を示さないので、事件の真相はうやむやになってしまうんだが・・・
どの数字が正しく、どの数字が間違っているかは、一目瞭然である。第三者分析機関は、45℃近くまで下げて行っているのだろう。

まぁ、この工場さんは、営業マンが弊社原料を使いたかったけど、品質管理側の判断で使えなくなり、案件がなくなった。もったいない・・・。

次の事例、BGLB法による大腸菌群の試験です。
これは、弊社でも、問題のある工場まで把握しており、対策として規格書や試験成績書にエラーを示す試験者の癖が出ないような記述を行っている。

BGLB法では、液体培地に検体を添加して、基本、自然に沈むのを待って試験を行う。

一方、沈まない原料が存在し、微量に空気が存在する液体培地の表層部で泡を出して陽性を示す。
再現性が示されないケースもある。

工場では陽性を示すが、第三者分析機関は、全て陰性を示している。

こういった問題が生じたので、数か所の厚生労働省登録機関に問い合わせ、沈まない粉体検体の処理方法を聞いた。
結果、泡立たないように軽く攪拌しているようである。攪拌の有無によって、結果が異なるようである。

この工場の試験者は、沈まない原料を攪拌して沈めず空気のある表層で反応させているのであろう。
他の他社原料でも、個々の工場だけ陽性を示すことが度々あるので、上記が理由だろう。

でも、上記のどちらの事例も、トラブルに発展すると、品質管理側は、責任が問われるから絶対に非を認めることができない。
本当は、こういった非を認めて改善できない体質に問題の根幹がある。

だからといって、オペレーターの試験者を責めてはいけない。基本、若手の仕事だし、派遣さんも多い訳ですから。
責められるべきは、品質管理の責任者。
こういった事例を繰り返しているのは、自社の結果を否定できないことや責任問題が生じるからだろうが、こういった問題は、しっかり解消していくべきだと思う。

製造ラインは止まってしまって生産性が落ちちゃうし、窓口を行う営業マンにも負担が増える。
自分で自分の首を絞めることになる。
良いことが全くない。

ちなみに、私は、微生物検査の実務経験はない。でも、25年以上、第三者分析機関を利用して管理は行っている。科学的な知見や経験さえあれば、適格に品質管理が行える。

なお、フィルム培地を利用すれば、試験者の癖による差が生じにくい。
常温で発芽する芽胞菌しか測定されないし、原料が沈んでない条件で大腸菌群陽性が示されることもない。

こういった面でも、合理性を重視する欧米では、フィルム培地を採用する会社が圧倒的におおのだろう。
環境負荷や効率性の理由だけではない。

そもそも、日本の品質管理は、古い商習慣を変えようとしない。
自分達の知らないことを受け入れない保守的過ぎる人達も多い。
だから、日本だけ、ガラパゴスになる。

過去、重金属の規格をHACCP仕様に変更して硫化ナトリウム比色法を外した際も、無知なクレームが届いた。
原料調査書で、工場基準にSQFやBRCを記述しても、未だ質問が届くことがある。調べればわかることなのに・・・。

何れにしても、今後、GMPの新ガイドラインで、原料の微生物試験頻度が高まるだろう。これを機に、フィルム培地に変更する工場も出てきている。
個人的には、上記を加味して、良い流れだと考えている。

一方、標準寒天培地法やBGLB法にこだわって試験を続ける工場も存在する。中には、管理基準を上げて、分析頻度を上げる工場も出てくるだろう。上記の事例を引き起こしている工場は、当然、そういった工場に該当するだろう。

原料メーカーとしては、上記のような事例が続く訳である。

先日も述べたのように、自己満足で過度な品質管理は、自分の首を絞めてしまいます。日本企業は、その傾向が強い。
上記の事例なんて、問題になるのは、日本くらい。米国の植物抽出物の一般細菌数規格は10000個以下がスタンダードなので、500個くらいの超えたからといって安全上全く問題ない。むしろ、分析誤差だと一蹴されるだろう。大腸菌群も、フィルム培地を利用していたら、こんなミス判定は行らない。

ちなみに、販売原料でどちらの非かわからなくても問答無用で返品交換させられるが、支給原料の受入検査だと、再検査で工場側のミス(主に検体の汚染)が発覚することが多い。また、弊社の方針として、戻ってきた検体は、必ず第三者分析機関で分析するが、ほとんどのケースでは、ロットアウトしてない。
弊社はOEM事業に比率も高く、前者のケースを知っているから、弊社は分析するけど、大部分の原料メーカーは、泣き寝入りなんだろう。
だから、前者のケースでも謝罪されるケースは稀なんだろう。
責任者の人格を疑ってしまうケースも少なくない。

何れにしても、工場側としても、こういったトラブルは、マイナスでしかない。
企業努力で未然に防いでいく しかない。某柔軟性のある工場は、非常に合理的な方法で未然にトラブルを回避していたりする。
弊社も、その管理方法を真似ている。
規格基準は、必ずしも1つである必要はない。

上記のような事例も踏まえて、受託加工会社さんも原料メーカーさんも柔軟かつ的確に対応できる体制を作っておくことをオススメします。
是非、本記事を参考にしていただけますと幸いです。