昨日、適正な対価というテーマで記事を書きましたが、現在、原料事業でも、変化が起こり始めています。

タイトルの問屋・商社マージン(流通マージン)も、私が業界に入った20年前とは、大きく変化してきています。
なお、ここでの商社さんとは、問屋さんと並べているので、輸入商社さんではなく、流通商社さんを指します。

当時、主となっていた健康食品サプリメント業界の問屋・商社の流通マージンは、約15%でした。
薬系の問屋さん。
これは、原料メーカーをやっていると、このマージンは、自ずと見えてきます。

そして、時代の変化として、健康食品サプリメント市場の成長と共に、食系の問屋さんや商社さんが増えてきました。
基本、薬系の問屋さんと食系の問屋さん(化学系の問屋さん)では、マージンが違います。
この変化により、問屋・商社のマージンも、約10%へと変化していきました。

このマージンの変化は、この値に落ち着きません。
問屋・商社さん同士の競争もあり、トップに躍り出た問屋・商社さんは、製品の性質や物量によって5~10%のマージン(平均7.5%)で取引するようになりました。

こういった変化からもわかるように、問屋・商社の適正マージンも変化するのです。

こういった変化により、一部の問屋・商社さんは、事業を縮小したり、撤退されたりしました。
問屋・商社さんも、選ばれるための武器が必要な時代になってきたのでしょう・・・。

原料メーカーって、こういった変化をいち早く察知し、臨機応変に動いていく必要があるのです。
もちろん、商社・問屋さんも。

こういった状況の変化を察知したのか、古い薬系の問屋さんは、社内規定のマージンを10%に引き下げたと聞こえてきました。
正しい選択。
当時、人材の流出も激しかったので、もうすでに、ビジネスモデルとして成り立ちにくくなっていたのでしょう。

さらに、変化が起こります。
物価高騰が起こった昨年、原料メーカーが一斉に値上げしました。

そこで、原料の値上げが起こっているのにもかかわらず、販売者に値上げさせてもらえないのがOEM会社/受託加工会社(工場)。
特に、大手さん相手にビジネスを行っていた会社さん。先日、軽く触れましたが、その中でも、ドラックストアなんて、最高益を出しているのに、値上げは一切認めないというような状況が生じていました。
そうなってくると、コストアップ分は、OEM会社/受託加工会社が吸収(負担)するしかない!

そこで生じた変化、問屋・商社外しの原料メーカー直取引 がOEM会社さんで盛んに行われるようになったのです。

過去、某大手受託加工会社さんは、商社・問屋さんと同じ価格なら、その価格から5%程度の値引きを求められました。
そして、物価高騰時、中堅受託加工会社さんの一部も、こういった値引き交渉を行われました。
結果、昨年は、問屋・商社にとって、冬の年であり、かなり厳しかったものと予測されます。

弊社の方針としては、問屋・商社さんとも上手くお付き合いします。
ただし、単なる寵愛としてだけ存在する商社・問屋さんは、優遇しないだけ。弊社は、取引額や関係性によって、2~3段階に商社・問屋さん向けの価格を設けています。



一方、弊社の顧客層は、やっぱり、受託加工会社さんが多いです。
理由は、窓口を担当する私から情報が欲しいというのもあるようです。
まぁ、一社挟むと、私から得られる情報量も減りますからね・・・。

弊社も、OEM事業で原料の調達を行いますが、問屋・商社さんを用いる場合と、直接原料メーカーから仕入れる場合があります。
前者は、原料メーカーとのコンタクトが面倒なケース。主に、大手の原料メーカー。どうせ、直取引してもメリットがない。
後者は、直取引のメリットがあったり、交流を図ろうと思う原料メーカーであること。

まぁ、弊社の場合、良い原料メーカーなら、出資や研究費援助までするような会社ですからね・・・。

弊社のスタイルって、北米の問屋・商社さん的な存在の会社さんの真似なんですけどね・・・。
基本、北米の健康食品サプリメント事業において、商社・問屋さんという位置付けの会社は、存在しません。商社・問屋さん的な存在の会社さんは、原料メーカーから代理店の権利を買っていたり原料メーカーに出資していたりします。
また、OEM会社に対しても、あまり価格優遇されることも少ないのが実情。
そのため、販売会社が原料メーカーに強烈な価格交渉を行うこともしばしばあります。商文化の違いと健康食品サプリメント業界の成熟度の違いが伺えます。

さて、この日本の商文化でもある問屋・商社さんは、どのように変化していくのでしょう?
中には、自社原料を持ち始めた商社さんも出てきています。

ビジネスは、スピード感と変化への対応力が不可欠です。
弊社も、こまめに変化へ対応しながら、ビジネスを進めていこうと思います。