前回に続き、アンチドーピングの記事です。
弊社は、ジオスゲニンをアンチドーピング認証を取得しようと考えている商品に配合したいという問い合わせも多く届きます。

回答は、NG
仮に検査に引っかからなくても、ダメです。
それは、アンチドーピングの理念に反するためです。

天然のステロイド化合物であるジオスゲニンをターゲットに抽出されている山芋抽出物の利用は、剤形を問わず、アンチドーピングの理念に引っかかります。
もちろん、由来は何であろうと、合成であっても、ジオスゲニンの純ピンにも当てはまります。

そもそも、ジオスゲニンは、ホルモン剤のリード化合物(中間原料)であり、禁止成分のDHEAにも類似した構造を持ちます。
仮に、ドーピング尿検査に引っかからなくても、配合自身が認められないと考えています。

一方、このジオスゲニンは、オリンピック 陸上金メダリスト ウサイン・ボルト選手の強さの秘訣ともされる成分です。ウサイン・ボルト選手は、(配糖体として)ジオスゲニンを多く含むヤム芋(山芋の一種)を日常的に摂取していました。

これは、抽出物でなく、芋で摂取しているから大丈夫なのです。

また、ヤム芋のように一部の地域で主食として食べられているような食品の場合、アンチドーピングの基準は、おそらく食していてもドーピング検査には引っかからないようにできています。
たぶん、豆類や野菜でも、同じような配慮がされていると思います。たしか、イソフラボンは、ドーピング成分に入っていなかったはず。まぁ、筋肉増強のテストステロンと真逆ですからね。

そういった背景から、ドーピング検査を行っているボディービルダーがジオスゲニンを多く含む山芋抽出物を摂取しても、引っかからなかったという事例もあります。
それでも、抽出物になった途端、理念的にNGになるのです。
まぁ、山芋抽出物の使用がバレたら、そのボディービルダーもドーピング扱いされちゃうでしょうね。
バレないドーピング成分というのも、あるニッチ市場では、高いニーズがあるんですよね・・・。

そして、ジオスゲニンのようなドーピング検査に引っかからない強化成分を組織的に摂取させていて問題になったのがロシアです。
組織的なドーピングとも呼ばれました。
理念に引っかかるから、制裁対象になったのです。

ロシアはエクジステロンを含むパフィアを利用していたという事例も、有名でしたからね・・・。

これで、なぜ?ジオスゲニンを規格した山芋抽出物がアンチドーピングの理念的にNGなのかがご理解いただけたと思います。

インフォームドチョイスなどを取得する商品の場合、ジオスゲニン原料は避けるべきということです。
基本、一部を除き、植物抽出物も避けた方が良いでしょう。

健康食品サプリメントの設計者の方は、注意していただければと思います。