今、機能性表示食品市場において、不思議に思うことがあります。

市場では、機能性表示食品の機能性関与成分を規格化している原料を用いた研究開発は、主に原料メーカーが行っている。
また、原料を持っている受託加工会社が行っている。

一方、この方式(特に原料メーカー主導)だと、SRをバラまくと多くの機能性表示食品が市場に流通し、商品同士が市場を食い合ってしまう。
市場で流通する商品数と原料出荷量は比例しない。
加えて、特許等の縛りがなければ、競合原料メーカーがSRをパックって展開するケースも増えているようだ。

しっかり儲かるのだろうか?研究開発費をペイできているんんだろうか?
と疑問に思ってしまう。

ぶっちゃけ、GABAや大豆イソフラボンなど、研究開発を行わずSRだけ行って機能性表示食品対応した方が無難に儲かるのでは?と思ってします。
投資を最小限に抑える戦略。
基本、成熟期の素材に限りますが。

米国でも、同様なことが起こっており、販売者に限らず、大手原料メーカーも、研究開発を積極的に行わなくなってきている。
望むような研究成果(;有効性)や売上が得られるかが不確定だからです。

それだったら・・・成果を出している原料メーカーや原料販売権を買った方が無難という考え方に基づいています。

まぁ、買収後、不正が発覚して、原料規格(+定量分析法)を変えて、ヒト臨床試験を再実施するなど、苦労された大手さんも存在するようですが。

こういった状況を見ていると、日本の機能性表示食品市場も、米国に近づいていくのかな?と思ってしまう。

一方、サントリーさんや大塚製薬さんのように、研究開発を推し進める会社も存在する。





明治さんなどの乳酸菌原料も同様。

有効性が示される確信を得た上で、ヒト臨床試験に多額の予算を投じているのだろう。
試験費用は、販売の広告費に比べると、微々たるもの。

どちらが正解なのだろう?
と思いつつ、販売者さんが研究開発を行うのが正解だと思っている。
しかし、マーケティングだけ駆け上がってきた中小企業には、ハードルが高く、なかなか同様なことができないだろう。

まぁ、中小企業の正解は、如何に原料メーカーとの協力体制を築いて、研究開発を行っていくかに尽きると思う。

一方、受託加工会社に丸投げで、直接原料メーカーとやり取りする販売者が非常に少ないし、うまく対応できる原料メーカーも非常に少ないので、なかなか実現できない状況がある。
理想と現実にギャップがあるのも事実。

さて、最後に、機能性表示食品戦略だが、ものによっては、必ずしも提供しているSRのヘルスクレームを公開する必要がないと思っている。場合によっては、ダミーで無難なものを公開しておくことも一手だろう。

この機能性表示食品戦略の問題点は、SRのヘルスクレームを公開すると、原料営業戦略になる一方、既存商品の競合商品を容易かつ無尽蔵に増やしてしまう点である。
広告費が高騰している今、競合ができることで、さらに広告費が上がってしまい、既存顧客と競合の両方を潰してしまう可能性がある。結果、素材のライフサイクルを短くしてしまう。
最終的に、メディアだけが儲かってしまう。実は、メディア vs クライアントで、見えない利益争奪合戦が繰り広げられている。
なお、これは、機能性表示食品に限ったことではない。

ある程度、関係性の良い大口既存顧客に既得権益を与え、市場をけん引させつつ、既存顧客の売り上げを演出して原料・OEM売上を伸ばしていくことが重要なんだろう。

一方、こういった展開は、販売者が望んでも、中小企業の販売者だけでは、成しえないだろう。
特に、原料メーカーの協力が不可欠になる。

極論、日本市場だけを見ないで、海外展開も行っていかないと、ビジネスは大きくならない。
個人的見解として、海外展開も視野に入れ、機能性表示食品に適度に対応していくスタンツの研究開発が理想だと思う。
日本の市場なんて、海外に比べると小さいものである。

ちなみに、有効性試験に関しても、海外市場(主に米国や韓国)を想定した場合、論文の書き方(試験食品の情報の出し方)が異なってきます。

本当の成功は、日本市場にはないのかな?とも思ってしまうこの頃です。