先週、厚生労働省が小林製薬「紅麹」問題 原因物質は「プベルル酸」と特定しました。



まぁ、プベルル酸で、これだけの被害がでるものなのか?疑問は残るものの、モナコリンKなどとの組み合わせによる相乗的な毒性もあり得るので、そう結論付けられたのだろう。

今後、この流れによって、カビの管理もうるさくなるだろう。
まず、施設・設備のカビ管理や発酵生産品のカビ毒管理などの管理基準が強化されるだろう。

カビ毒については、毒性が強いアフラトキシンが最も厳しく管理されている。
チアシードやバジルシードのような種系の素材で、アフラトキシンが検出され、輸入許可が下りなかったりリコールが起こったりしている。

その他、それほど毒性は強くないが必ず食品中に存在しているカビ毒も存在する。
オクラトキシンが代表例であり、穀類及びその加工品、コーヒー、ココア、ビール、 ワインなど、さまざまな食品で汚染の例が報告されています。

参考:かび毒オクラトキシンAについて食品健康影響評価を行いました 食品安全委員会

まぁ、ワインなどは、必ず入っているものとされ、EUでは基準値が設定されている。
一方、日本では、未だ基準値等は設定されていない。この一件で、設定される可能性も高まったのだろう。

私が詳しいのは、どうしても赤ワインエキス末を取り扱っているから。
某大手穀物メーカーからの指摘が始まり。
当然、全ロットでモニタリング分析も実施しているし、適正な管理も行っている。ここは、コピー原料や非正規輸入品との違いだと思う。
こういった違いも、今後、発酵生産原料のカビ毒の管理が強化されることで、露呈してくるだろう。

私は品管も兼ねるので、日々、見えない敵と戦っています。

ちなみに、実は、紅麹問題の前に、錠剤、カプセル状等食品の原材料の安全性に関する自主点検ガイドラインが変わり、その確認表も変更されてきている。

まぁ、管理側の確認表の内容についての評価も、紅麹問題の影響で確実に変わってくるだろう。
あまりにもタイミングが良すぎる。

ぶっちゃけ、実際問題、有害成分については、起源原料で数多くの報告があっても、原料メーカーがきちんと記載していないことが多いだろう。

先述のオクラトキシンも、かなりの食品で該当する訳だが、しっかりと見解を述べてきている原料メーカーは、皆無だろう。

まぁ、オクラトキシンの場合、日本では、小麦・大麦・ライ麦で5 μg/kgの基準値が設定されており、EUでは、以下のような基準値が設定されています。
医療用食品並びに小売以外の小麦グルテンを除く) 3.0μg/kg
干しブドウ 10.0μg/kg
焙煎したコーヒー豆及び粉(水溶性コーヒーを除く) 5.0μg/kg
水溶性コーヒー(インスタントコーヒー) 10.0μg/kg
ワイン(リキュールとアルコール度数15%以上のワインを除く)と果実ワイン 2.0μg/kg
アロマワイン,ワインを原料とした飲料,アロマワインのカクテル 2.0μg/kg
ブドウジュース 2.0μg/kg
ベビーフード及び幼小児向けの穀類加工食品 0.50μg/kg
乳児向け医療用食品 0.50μg/kg
香辛料(乾燥品を含む) コショウ属,ナツメグ,ショウガ,ターメリック 15/kg
トウガラシ属(乾燥果実の全体または挽いたもので,チリ,チリパウダー,パプリカを含む)15μg/kg
上記香辛料を含む香辛料の混合物 15μg/kg
カンゾウの根(ハーブの浸漬用途の原料) 20μg/kg
カンゾウの根の抽出物(特定の飲料や菓子の用途) 80μg/kg

健康食品サプリメントと関りが深い素材も多い。
最低限、これらの食品ならびに起源として中間加工食品は、きちんとしたコメントを行うべきだと思います。
特に、濃縮工程がある中間加工食品(いわゆるエキス末)。

また、発酵生産品は、定期的なチェックくらい行うべきなのだろう。

でも、知らないふりをされるのが実際。

ここは、各原料メーカーのコンプライアンスの問題だろう。

また、管理する側の受託加工会社も、面倒だから見て見ないふりするケースも多いだろう。
モラルのある会社であれば、報告してこない原料を採用しないようにするのだろうが、報告してこない原料メーカーに責任転嫁すればよいと考える会社がほとんどだろう。

まぁ、弊社は弊社のスタンツを貫くのみ。
食品というビジネス、何より信頼が大事です。


P.S.
私は、完全プル型でも営業を行っています。品管も兼ねることは、管理上、好ましくない。
原料営業も、離れていくことを考えなければならない時期に来ているんだろう。