今年の食品開発展のパンフレットを見て、出展企業数の多さにビックリした。一方、来場者数は、ぼちぼち、だから出展企業数あたりの来場者数は少なかったです。まさしく、市場動向を表しているなぁと再認識した。

まず、今、以下の理由で、通販市場は、混沌としている。

・広告費の高騰
・広告規制の強化
・有望新素材不在


広告費と言っても、テレビや紙媒体ではない。
ネット広告が高騰している。

だから、どこの通販会社も広告費用対効果が落ちて、大変な状況だろう。
低単価な商品は、広告展開しにくくなっている。
5000円以上の単価の商品でしか展開しにくい。

まぁ、広告費回収リスクを逃れるため、モール系通販で勝負する会社も少なかないだろう。広告系通販と異なり、大損することは少ない。

だから、モール系通販に、薄利多売の商品が集中する。今、集中し過ぎて、ますます儲かりにくくなっている。

また、広告にあまり依存しにくいインフルエンサーマーケティングの方面に市場は動くだろうけど、ステマとの境目が難しい。

通販市場、手詰まり感があるのだろう。
このような局面、オンリーワンを徹底した商品開発しか答えがない訳だが、そのための有望素材も不在な状態。
賢い通販会社は、すでにオンリーワンを演出する原料戦略に取り組んでおり、弊社にも依頼が来ている。
結局、そこに尽きる。市場が米国化してきている。

今後の商品開発のテーマは、

市場創造

しかない。
でも、そう簡単ではない。トライしても、大部分が失敗する。

こういった背景があるため、受託加工会社も原料メーカーも、新規顧客を獲得できない状況があるんだろう。
弊社でも、かなりOEM問い合わせ数が減っていますから。

まぁ、展示会に出展したからと言って、新規顧客を獲得したできる訳ではないのだが・・・。すでに、販売者の商品開発モデルが一変しているので。

ちなみに、弊社は、OEM問い合わせ数は減ってるが、成約数は減ってない。見込みの高い顧客獲得の集客戦略を行なっているからだろう。
だから、弊社の社員達は、忙しくて展示会に来場する時間すらない。まぁ、私が作ってるんだから、作ろうと思えば作れるのだろうが。

また、原料問い合わせは、受託加工会社の既存顧客から毎日のように届いてる。腹立つくらい、忙しい。まめ鉄やジオパワー15のライフサイクルが成長期後期に始めているからだろう。
まめ鉄なんて、市場競争が激化し始め、勝つための鉄10mg設計リニューアルがドンドン進んでいる。製造量は大きく変わらないのだろうが、一回あたりの注文量が軒並み増えている。とても良い傾向。

さて、昨日、私も展示会に来場しているのだが、やっぱり、真新しい素材がない。
素材間や競合原料間の競争だけが激化しているのがわかる。

価格と営業力だけで成長を続けている会社もあれば、ジリ貧で不景気さ雰囲気に現れている会社もある。コラボ出展という新しい試みをしている会社もあった。

まさに、この市場は、淘汰 の時期に来ているのかな?

特に、原料メーカーは、多くの会社で事業継承問題も出てきており、今後、米国のように事業買収・統合なども盛んに行われていくだろう。
また、武器を持たない企画会社は、どんどん廃業・事業撤退し始めている。

まぁ、そこまで価値がある原料メーカーや原料製品は非常に少ないのだが、プロテタイトのように、ギリギリのタイミングで代理店に事業売却されるケースもあれば、そのまま消滅していく原料もあるだろう。

原料製品の価値って、どれだけ研究開発費を投じられたか?に尽きるんだろうけど、研究開発費を投じれば投じただけ、回収リスクが伴うため、そのマネージメントが非常に難しい。

かつ、原料製品って、日本だけの市場を見ていても、限度がある。実際、海外の方が市場がとてつもなく大きく、一部の成功している原料メーカーの中には、実は海外しか見ていない原料メーカーも少なくない。アミノアップさんなんて、その最たる例だろう。
だから、海外向けの基準で研究開発を進めていくことも、非常に重要なこと。

弊社は、実は、海外展開(輸出事業)の一次代理店を行っている原料もあるので、特に米国展開向けの研究開発に絡むことが多い。かなり知見がたまっている。
今は、私一人で行っていて、未だ私の人件費が合わない事業だが、将来的には、柱の事業にしたいと企んでいる。

基本、将来的には、情報化により日本企業の日本企業向けの展示会出展って意味が薄れ、海外展開を見越した展示会出展に位置付けが置き換わっていくだろう。
今回、原料バンクのリニューアルは、その流れを加速させたと思う。

市場は、常に変化しています。

今回は、それを痛感させられる展示会でした。



この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。