最近、特許調査や特許戦略など、特許関連の仕事が続いている。私は、新規原料を取り扱う際、必ず自分で特許調査を行うからです。
営業の側面からも、有効な特許・有効ではない特許、また、特許戦略上、成果が出ている特許・出ていない特許など、自ずと見えてくる。
この日本の食品業界に関しては、他の業界にはない少々特殊な部分もある。

そして、弊社は、以下のょうに特許戦略を行っていますが、特許戦略って、難しいなぁと思うことが多々ある。



タイトルの通り、特許に賞味期限があるから。
また、目に見える有効性と目に見えない有効性が存在し、評価も難しいから。

特許戦略が失敗した事例は、死ぬほどある。

5-ALAなんて、典型的な事例だと思う。
もうすぐ、重要な特許が切れるようです。

特許などの権利は、大きな規模で利用されて初めて、効果を発揮することがある。特定企業が権益を独占しようとすると失敗する傾向があります。ただし、独占しようとする会社が業界を良く知る大企業であれば、別の話。
特に、SBIみたいに、もともと金融業界の方々は、勘違いしやすいのだろう。本業界の本質(体質と儲け方)が理解できないためだろう。

まぁ、本業界の本質として、特許を利用させてもらおうという概念は希薄で、特許の穴を見つけて抵触しないように利用しようという考え方の方が先行する。
だから、力のない中小企業が特許で権益を独占しようとすると、どうしても上手くいかない。

最たる事例が、特許ロイヤリティービジネス。

私の経験上(N=40社前後)、特許ロイヤリティーが別途かかるとわかると、約8割の顧客が脱落する。1円でも払いたくないという会社さんが大部分を占める。
そして、その金額が@100円を超えると残りの2割の内1.5割が脱落し(成約率5%)、@200円を超えると1.9割が脱落する(成約率1%)。

年間10万個販売して、@100円のロイヤリティーが発生すれば、年間1000万円のロイヤリティーが発生する。
10万個まで行かなくても、3万個以上販売する顧客を3~10社くらい見つけつけるのが正解。
また、10万個以上販売する顧客の売上を如何に伸ばすかの支援が不可欠。また、10万個以上はロイヤリティーを下げるなどの工夫も不可欠。

まぁ、最適なロイヤリティーって、いくらなのか?というのは、特許の有用性にも関係するので、わからんですが。
この業界の本質を考えると、5%を取りに行くのが正解だと思う。
近年、特に機能性表示食品に関してぇあ、プレイヤーを増やし過ぎるのも、得策ではないと思い始めた。

こういった特許ロイヤリティーは、特許が切れると同時に収益が途絶えるので、スピード感も求められる。
タイムイズマネー!!
契約者の広告露出が増えれば、必然と見込み顧客も増える!

結局、繰り返しになるが、この業界(日本の食品業界全般)の本質として、
ノウハウや技術に成果報酬を払う気が無い
が存在するため、この本質を理解した上で、最善の収益モデルを構築していく必要があるのです。

ぶっちゃけ、特許なども、永遠ではないですから(;時間の経過と共に価値が落ちるので)、大手企業さんほど、特許が切れるのを待っていたりするのです。

私は、特許戦略は、約10年という賞味期限の中で、如何に利益を最大化するかに注力しています。
10年を超える特許は、維持する必要性を改めてジャッチすることにしています。
第10年から第25年までの特許料は、毎年 59,400円+(請求項の数×4,600円)なので、よほど意味のある特許でないと維持できないですし、特許権の存続期間は、長くても特許出願日から20年(延長が認められる場合も有)と、必ず終わりがあります。

弊社の特許においても、10年で更新を止める特許と20年まで更新する特許がある。
特許戦略って、奥が深い。

5つ(顧客の特許を合わせると6つ)も特許を取得しているけど、未だ失敗したなぁと思うこともあり、毎回学びがある。
あと、必ず拒絶申請を受けるものだと理解しているのですが、どうしてもあの精神的ダメージには慣れない。

私のビジネス人生、残り15年程度(旬は約10年)。
あと、最低5つの特許は出願するだろう。
そして、その間、同時に少なくとも3つの特許が切れれてしまうだろう。
事業と共に特許も引き継いでいく訳ですが、自分のノウハウは、なかなか引き継ぎにくい。

また、中小企業の特許の中には、どんなに優れていても、継承されずに埋もれてしまう特許もあるのだろう。
勿体ないなぁ・・・。

それが中小企業の弱点でもあり、米国において、中小企業の原料メーカーの半分以上が買収等により統合されてしまっている現状があるのだろう。
良い中小企業は、大手の原料メーカー(代表例はロンザやバイオリジナル)やOEM会社に買収されてしまった。
そして、これは、日本の未来像でもあるのだろう。
そう思って、今後のビジネス展開を行っていかなければならないだろう。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。