ぶっちゃけ、この健康食品サプリメント業界では、タイトルの業務手順書(いわゆる業務マニュアル)やデータベースがきちんと作成されているケースが少ない。
会社の規模が小さくなればなるほど、作られていないことが多い。

一方、米国では、当たり前のように作成されている。取引開始時、その目次(Standard Operating Procedures, Table of Contents)を提出させられることがあるくらい重要視される。
おそらく、終身雇用の概念がなく、人の入れ替わり激しいためだろう。
今後、日本も米国化すると予測されるので、業務手順書のニーズは高まるだろう。

ちなみに、業務手順書とデータベースを並べているが、そもそも、両者は、役割や利用対象者などが大きく異なる。

まず、業務手順書は、主に、新入社員など新しく入ってきた人材向けのもの。
そして、データベースは、ユーザーが新しく入ってきた人に限定されない。すべての社員が業務効率を高めて、成果を出すツールである。

また、業務手順書は、一旦作成してしまえば、頻繁に改定する必要はない。
反対に、データベースは、常に更新していく必要がある。

まぁ、こういった両者の違いより、データベースは作られていても、業務手順書が作られていない会社も多い。
特に、見て覚えろ!なという思考で動いている古い体質の会社は、業務手順書が作られないだろう。過去の日本企業の大半に当てはまると思う。実際、私も、入社した会社で業務手順書が存在していた経験がない。
一方、作成することは非常に多い。
それは、私自身、平社員の経験は3年間しかなく、後は、プレイングマネージャーとして指揮する立場でしか仕事したことがないからだろう。

そもそも、なぜ?多くの日本企業で業務手順書が作られないからだろうか?

それは、簡単な理由であり、苦労して作成しても評価されないことが多いためです。

本来、マネージャー職は、こういった業務手順書を作成しなければならない。
一方、自分に対して、すぐにメリットが生じる訳ではないため、後回しにされてしまう。

データベースに関しては、有用性が分からず、作成されていないケースが多い。
弊社のOEM事業は、データベースと見積作成のベースになる原価表とが連動する形にされている。半自動だが、かなり効率良く原価計算できるようになっている。
まぁ、大手受託加工会社さんも、同様なことを行っているが、いろいろなものを連動させ過ぎて、効率が悪くなっているかのように思える。

先日、大手受託加工会社さんから、かなり老舗の小さな受託加工会社さんに転職した方からも、データベースもなく、表示を作成する仕組みすらないと嘆いていた。

評価体制が悪い会社では、もっと最悪なことが起こる。

個々人でデータベースを作成しても、社内やチームで供給されていないケース。
このデータベースを共有してしまうと、他の営業マンが苦労せずして成果が上がってしまうからです。ライバルや後輩が成果を上げてしまうと困るのだろう。
要するに、他の社員に塩を送るようなことはしたくないという論理です。
これは、実際にあった話であり、ある問屋さんの優秀な社員のケース。
まぁ、良い人でも、人のためには決して動かないという人も少なくないですからね。こういった人材は、基本、業務手順書の整備に関しても非協力的。

一方、上記の例は、会社が悪いとしか言えないだろう。
会社の責任。
会社は積極的にデータベースなどの整備を支持し、優秀な仕組みを作成した人材程、しっかり評価すべきなのだと思います。

でも、そうは言っても、こういった成果が数値化されにくい存在や縁の下の力持ちのような存在を評価するのは、難易度が高い。
マネージャークラスの人間でも、個人の数字にしか興味がない人が多いのも実際。
だから、どうしても、個人の数字より、チームや組織の数字を追う者がデータベースを(基礎だけでも)作成することになる。

近年、特に若い人材に対して、絶対にやってはいけないとされている「マイクロマネージメント」と呼ばれる管理方法がある。



石田先生の大ベストセラー「教える技術」でも紹介されているのだが、今、管理しない管理が求められている。



スポーツのコーチでも同じなのだが、褒めて伸ばす時代なのです。
まぁ、加えて、上司やコーチは、怒りに限らず、イライラ感(態度の変化)を出しても、パワハラとされる時代ですからね。

基本、最初から満点を求めてはいけませんし、最初はギリギリ合格の70点でも、成長するようしっかり褒める必要があるのです。
そして、今の時代、業務手順書を提示して、わからないことを質問させながら、自分自身の力でチャレンジさせることが大事なんだろうなぁと思ったりします。

こういった時代、業務手順書の有無で、ビジネスは、大きく変わってくると思います。
むしろ、メインユーザーである新人さんのわからなかった点などを常に業務手順書に組み込んで更新していくべきなのでしょう。まぁ、新人さんに更新させるのが理想なのかな・・・。

最後に・・・
業務手順書やデータベースって、労働生産性を高めるためのツールです。
すぐに結果は出ないかもしれませんが、みんなでしっかり運用していけば、必ず結果がにつながると思います。
本当は、こういったツールは、金のなる木!

また、これらを常に改善し続けることも重要であり、それが会社の収益性に結びついていくと思います。
中小企業の場合、時には、経営者がプレイングマネージャー(ゼネラリスト)として、業務手順書やデータベースを始めとした仕組みを作らなければならないです。
私も、新たな仕組みを作りつつ、常に改善し続けています。

こういった努力の積み重ねが会社を強くしていくんだと思います。
無謀な目標やノルマだけ示して、何もできない経営者の中小企業って、淘汰されていくだけですからね・・・。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。