弊社では、数多くの問い合わせを受け、様々な顧客と商品開発を行う機会があります。

その中で、意外に多い要望は、効く商品を作りたいというもの。

一方、この効くという要望は、意外に面倒・・・。
効くというのは、何をもって効くというのか?の判断が難しい。

今までの経験上、以下のような人達が多いのが実際です。

自分自身が持っている持病や不定愁訴が改善することで効くという人
モニター試験を実施して効いたと実感することで効いたという人
体が温かくなるなど、単に何らかの体感で効くという人

でも、全て間違い。

基本、ヒト臨床試験などにおける有効性というものは、統計解析を行って有意差が示された場合、有効性があるとされます。
また、機能性表示食品レベルでは、被験食品群とプラセボ(偽薬)群との群間で有意差が示される必要があります。

そして、こういった有効性って、必ず個人差があるため、必ずしも全員で数値の改善が認められる訳ではない。
また、数値的に改善していても、体感がほとんどない有効性も数多く存在する。例えば、私の経験上、血圧や血管の柔軟性を示すFMDなどは、体感が得られにくいです。

私は、関節痛のヒト臨床試験を複数行っているのだが、VASなどの主観的評価方法では、プラセボ効果もかなり出るので、本当の有効性が見えにくくなる。

まぁ、上記(枠内)の効くという評価例が非常にナンセンスであることがわかるだろう。
中には、たった数回の利用で効いたかを評価しようとする非常識な人もいる。実際、機能性表示食品の有効性試験の多くは、12週間程度で評価されているのにも関わらず・・・。
でも、こういう方々が多いのが実際。

医薬品でも100%の有効性が示されるわけではない。
市販薬などでは、せいぜい2,3割程度の有効性と聞くこともある。まぁ、効くものは、必ず副作用もあるため、そんなに効くものを自由に流通させれないのだろう。
まして、食品素材で、医薬品以上の顕著な変化や有効性が示されるはずがない。まぁ、医薬品と大差がないビタミンやミネラルは、それなりに効果が示される。もちろん、個人差がある。

さて、商品開発を行う際、有効性をどのように評価すべきか?

やっぱり、エビデンス をベースに有効性を判断すべき。

そのエビデンスで判断する際、最低限、以下のような点を考慮する必要があるでしょう。

・1日当たりの摂取量
・摂取期間
・被験者の種類(健常者 or 疾患者)
・有効性の度合い
・論文のレベル(査読の有無)

まず、どれくらいの摂取量で、どの程度の期間摂取すれば、どの程度の有効性が示されるか?を調べる必要があります。
どの程度の有効性は、群間で有意差が示されているか?有意差の度合いとしてp値はどの程度か?など認識しておく必要があります。

あと、意外にスルーされがちなのは、論文のレベル。
実際、商業誌や査読のない論文で掲載されていても、信頼度は低いです。最低限、査読がある医学誌で掲載されている必要があるでしょう。
まぁ、厳しく評価される方は、雑誌のインパクトファクター(自然科学や社会科学の学術雑誌が各分野内で持つ相対的な影響力の大きさを測る指標の一つ)もチェックされるだろう。

まぁ、こういったエビデンスベースでの商品設計は、私の得意分野でもあるのですが、必ずしもエビデンスベースの設計の商品が売れるわけではないので、効果の部分とのバランスが難しくなって効います。
たくさん配合したからと言って、コスト高になるだけで、売れる訳ではなないですからね。

また、リピートやLVTを演出するには、何らかの体感があった方が良いのですが・・・
鉄や亜鉛を不足しているターゲット層の商品の配合して体感を演出させたり、ショウガや黒コショウなどの香辛料系の原料を入れるとポカっとさせて体感させるなど、いろいろな演出方法があります。

反対に、こういった有効性や体感に興味を全く持たず、効かなくても売れれば良いと考える販売者さんも少なくない。
過去、ゴミ商品を販売していた人達は、その最たる例でした。

まぁ、バランス感覚の取れた方が売れる商品を作ってきている実際があり、今後、そのバランスの重要性は、増すと思います。
弊社は、そのバランス感覚を大事にしつつ、ヒットする商品をプロデュースしていければと思います。
そのためには、日々努力です。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。