鉄って、非常に難しく、多く摂取するだけではダメで、年代別に最適な量を摂取する必要があります。
また、鉄は、フリーラジカルを発生して酸化ストレスを誘発する栄養素でもあるため、アンチエイジングドクター(医師)の中には、摂取を推奨しない方も少なくない。

実際、細胞における若さや寿命の蝋燭(ろうそく)でもあるテロメアと鉄の充足状態の関係性が調べられ、65歳以上のシニア層は、血中鉄レベルを高くし過ぎない方が良いことが示されています。
かみ砕いて表現にすると、血中鉄レベルが高ければ、老化度合も高く、残っている寿命も少ないということになる。


Association between Body Iron Status and Leukocyte Telomere Length, a Biomarker of Biological Aging, in a Nationally Representative Sample of US Adults

Abstract

Background: Excess iron levels can induce oxidative stress and could therefore affect telomere attrition. However, little is known about the impact of body iron status on telomere length.
Objective: Our aim was to examine the association between serum ferritin concentrations, an indicator of body iron status, and leukocyte telomere length in US adults.
Design: We conducted a nationwide, population-based, cross-sectional study.
Participants/setting: We used data from the National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) 1999-2002. We included 7,336 adults aged 20 years or older who had available data on serum ferritin levels and telomere length. High ferritin levels were defined as a serum ferritin level >200 ng/mL (449.4 pmol/L) in women and >300 ng/mL (674.1 pmol/L) in men. Low ferritin levels were defined as a serum ferritin level <30 ng/mL (67.4 pmol/L).
Main outcome measures: Leukocyte telomere length was assayed using the quantitative polymerase chain reaction method.
Statistical analyses: Linear regression with survey weights was performed to estimate the association between serum ferritin levels and telomere length.
Results: The prevalence of adults with high and low serum ferritin levels was 10.9% and 17.6%, respectively. High ferritin levels were inversely associated with telomere length compared to normal ferritin levels. After adjustment for demographic, socioeconomic and lifestyle factors, body mass index, C-reactive protein, and leukocyte cell type composition, the β coefficient for log-transformed telomere length was -0.020 (standard error [SE]=0.009; P=0.047). The association was stronger in adults aged 65 years or older (β coefficient -0.081, SE=0.017; P<0.001) than in adults 20 to 44 years old (β coefficient -0.023, SE=0.019; P=0.24) or adults aged 45 to 64 years old (β coefficient 0.024, SE=0.015; P=0.10) (P for interaction 0.003). Low ferritin levels were not significantly associated with telomere length compared with normal ferritin levels.
Conclusions: In a US nationally representative population, high body iron status was associated with shorter telomeres, especially in adults aged 65 years or older.
J Acad Nutr Diet. 2019;119(4):617-625.

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米国成人の全国代表サンプルにおける体内の鉄の状態と生物学的老化のバイオマーカーである白血球テロメア長との関連

要旨

背景: 過剰な鉄レベルは酸化ストレスを誘発する可能性があり、したがってテロメアの消耗に影響を与える可能性があります。しかし、体内の鉄の状態がテロメアの長さに与える影響についてはほとんど知られていません。
目的: 私たちの目的は、米国の成人における血清フェリチン濃度、体の鉄の状態の指標と白血球のテロメア長との関連を調べることでした。
デザイン: 全国規模の人口ベースの横断研究を実施しました。
参加者/設定: 国民健康栄養調査 (NHANES) 1999-2002 のデータを使用しました。血清フェリチン値とテロメア長に関するデータが入手可能な 20 歳以上の成人 7,336 人を対象に含めました。高フェリチン レベルは、血清フェリチン レベルが女性で 200 ng/mL (449.4 pmol/L) を超え、男性で 300 ng/mL (674.1 pmol/L) を超える場合と定義されました。低フェリチン レベルは、血清フェリチン レベル < 30 ng/mL (67.4 pmol/L) として定義されました。
主な結果の測定: 白血球のテロメアの長さは、定量的ポリメラーゼ連鎖反応法を使用して分析されました。
統計分析: 血清フェリチン レベルとテロメア長との関連を推定するために、サーベイ ウェイトを使用した線形回帰を実行しました。
結果: 血清フェリチン値が高い成人と低い成人の有病率は、それぞれ 10.9% と 17.6% でした。高フェリチン レベルは、通常のフェリチン レベルと比較して、テロメアの長さと反比例の関係にありました。人口統計学的、社会経済的およびライフスタイル要因、ボディマス指数、C反応性タンパク質、および白血球細胞型組成の調整後、対数変換されたテロメア長のβ係数は-0.020でした(標準誤差[SE] = 0.009; P = 0.047) .この関連性は、65 歳以上の成人 (β 係数 -0.081、SE=0.017; P<0.001) の方が、20 ~ 44 歳の成人 (β 係数 -0.023、SE=0.019; P=0.24) または高齢の成人よりも強かった。 45 歳から 64 歳 (β 係数 0.024、SE=0.015; P=0.10) (交互作用の P 0.003)。低フェリチン レベルは、通常のフェリチン レベルと比較して、テロメア長と有意に関連していませんでした。
結論: 米国を代表する集団では、特に 65 歳以上の成人において、体内の鉄の状態が高いことはテロメアが短いことと関連していました。


まぁ、鉄摂取にとって、ネガティブな論文なのだが、その反面、鉄素材選びの重要性も示している。
フェリチン鉄に関しては、摂取時、イオン化されずにエンドサイトーシスで吸収されるので、ラジカル発生の可能性や影響は少ないだろう。
先述の最新研究紹介のように、フェリチン鎖がラジカル消去として働く可能性もあるだろう。



一方、フェリチン鉄は、吸収後の動態で不明な部分もある。
吸収後でも、ラジカルの生じない代謝が起こっていれば、ラジカルの発生の可能性が低い極めて安全な鉄素材と言えるだろう。
また、そもそも、鉄のエンドサイトーシスによる吸収に、血中鉄濃度が高ければ吸収しないなど、調整機構も備わっていれば、過剰な鉄による害も少ないだろう。
今後の研究課題でもある。

何れにしても、鉄は、重要な栄養素。
ただし、鉄って、主に必要なのは、成長期の子供達と閉経前の女性。
成人男性も、出血がある人以外、あまり必要としない。

そして、この論文で示されているように、おそらく鉄のラジカル(酸化ストレスの誘発)としての影響だろうが、一定年齢以上は、摂取しない方が良いようになってくる。

年齢や性別で、鉄の摂取の仕方が変わってくる。
他の栄養素より、摂取管理が難しい。

これらを加味すると、現時点において、私は、鉄摂取の仕方について、以下のように考えています。

男性は、成長期に積極的に補う以外、不足量を適当に補いつつ、過剰に摂取しないようにする。60歳以上は、貧血症状がない限り、摂取しない。

女性は、初潮後、不足しないよう積極的に補い続ける。貧血症状を感じるようであれば、少し多めに補うようにする。特に、妊娠中は、摂取目安量が倍になるため、多めに補うようにする。閉経後、摂取を止めても良い。60歳以上は、貧血症状がない限り、摂取しない。

そして、鉄を摂取する場合、ラジカルのダメージが少ない素材を選択するようにする。


こういった鉄摂取の仕方を行っていれば、老化やアンチエイジングという観点で、さほど気にすることはないと思う。

ちなみに、隠れ貧血というものもあるので、ヘモグロビンがギリギリ正常値でも、血中フェリチンが低ければ、補っておいた方が良いだろう。



米国市場では、すでに常識なのだが、鉄は吸収性と安全性で選ばれるようになっている。
ただし、日本は、医薬品の鉄剤の力が強いことなどから、食品で使用できる鉄素材も限定されている。必ずしも良いと思わないが、例えば、キレート鉄などは食品添加物として認可されていない。

日本市場では、米国と異なり吸収性や安全性の詳細が謡えない法規制があるため、素材イメージの方が先行してしまう。
まぁ、豆由来フェリチン鉄は、安全性も高く、吸収性も低くない。イメージも良く、昇り龍の素材であることは間違えないだろう。
米国生まれの市場だが、むしろ、日本市場の方が適している素材ともいえるだろう。

何れにしても、今後も、研究開発を続け、豆由来フェリチン鉄の市場を伸ばしていければと思う。
淡々と努力を積み重ねるのみ!

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。