先週、取引量は多くないのですが、ちょこちょこ連絡をくれる取引先から、ケルセチンの問い合わせを受けました。
内容は、過去の記事の内容。



要点をまとめると。
ケルセチンは、以下のように定められています。

基原・製法・本質
ケルセチン:「ルチン(抽出物)」を、酵素又は酸性水溶液で加水分解して得られたものである。
 ↓
基原・製法・本質
ルチン(抽出物):ルチン(抽出物)(アズキ(Vigna angularis Ohwi et H. Ohashi)の全草、エンジュ(Sophora japonica Linne)のつぼみ若しくは花又はソバ(Fagopyrum esculentum Moench)の全草から得られた、ルチンを主成分とするものをいう。)を酵素処理した後、精製して得られたものである。

黄色で示した部分が注意点。
ブラジルあたりで作られているDimorphandra mollis 南米原産のマメ科)由来ケルセチンは、この基準に合わないという指導を受けました。書面にも残っている。
ケルセチン過去の記事の時から法律は変わっていないと思うので、多分、今もダメだろう。

そもそも、ケルセチンの純ピン原料は、ケルセチン(酸化防止剤)って用途表記が必須なので、フェルラ産同様、非常に使いにくい。

ただでさえ使いにくいのに、回収リスク等があったら怖くて使えたものではない。
仮に、検疫が見落としでたまたま通関されたり学名を偽って通関していて、原料供給してしまい販売者さんで回収(リコール)騒動でも起こそうものなら、目も当たれない。マジで賠償金問題(商品回収費用+新聞の社告で4000万円)に発展しかねない。

新人の検疫官であれば、Dimorphandra mollisを食品添加物で認めらえている類似植物エンジュ(マメ亜科)ですと押し通せば、通関が通ってしまわないことなないと思う。
流通させた後が地獄だが・・・。

まぁ、個人的な見解として、この原料を流通させる場合、添加物区分のケルセチンとして輸入するから問題なだけであり、学名を日本語に訳してディマフォンドラ・モリス抽出物として輸入すれば、輸入できるんでは?とも考えています。
要するに、添加物区分から外してしまえば良い。
ただし、抽出にアセトンや酢酸エチル等を使用していない場合だが。
当然、原材料表示も、ディマフォンドラ・モリス抽出物という記載になるだろう。

それでも、食薬区分に記載されていない植物の抽出物なのでグレーゾーン。
管理基準の厳しいOEM会社さんでは、使えないだろう。
何れにしても魅力がない原料だ。

まぁ、よくよく聞くと、連絡してきた者の顧問先が取り扱っているようで、心配になって私に意見を求めてきたようです。
ほんと、迷惑な話・・・。
私のコメントで「もう、この原料には、関わらんとこぉ。」と言っているから、顧問先にも知らなかったことにするのだろう。

皆さんも、気を付けてくださいね。

【追記】
追加調査しましたので、追記します。
ケルセチンは、平成13年3月27日に以下の通達で、非医薬品リストに掲載されています。
医薬品の範囲に関する基準の改定について
一方、私が指導を受けたのは、その後。
なお、このリストは、一応、食品添加物の成分も記載されている。

食品添加物としての取り扱いは、近年、微妙に変わっています。
原則、食品添加物のリストにある素材は、食品添加物としての使用が優先されます。
そのため、サンゴカルシウムも、茶カテキンも、フェルラ酸も、原則、食品添加物での表示に限定されるようになっています。
なので、添加物基準のケルセチンは、添加物での表示になる。
添加物基準を満たさないケルセチンに関しては、やはり、グレーなのだろう。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。