タイトルにびっくりされた方もいらっしゃるだろうが、商社・問屋さんは、弊社の原料事業の重要なお客様です。
タイトルは事実だが、大事なパートナーである商社・問屋さんを粗末に扱うつもりは全くない。
そこは、最初に公言しておきます。
実際、弊社の原料事業でも、商社・問屋さんの売上比率は、低くないし、毎年売上が伸びている。



業界の商習慣というものもあるし、原料メーカーさんでも、販売会社さんにも受託加工工場にも一律価格で販売している会社さんも存在しますが、営業戦略上、良い戦略だと思えない。
そのため、弊社は、原料価格を4つ(正確には5つ)に分類して展開している。非常に上手く機能している。

一方、弊社は、一部の原料に関して、一部の商社・問屋さんを利用しない方針の原料販売戦略で展開し始めているのは事実です。

弊社の原料事業の売上構成は、ざっくり、こんな感じですが、
販売会社:40%(大口のみ)
受託加工会社(工場):30%※関連会社経由の商社・問屋を含む
商社・問屋:15%
その他:15% ※海外顧客を含む

実際、受託加工会社さんと商社・問屋さんの比率は、同じくらいだろう。
また、弊社は、会社の特性上、販売者さんと二人三脚でクリエイティブ開発するケースが多いので、どうしても販売者さんとの直取引が多くなってしまいます。

基本、売上や関係性によって商社・問屋さん(輸出商社を含む)も2つに分類している。
もちろん、価格設定も異なります。
複数の商社・問屋さんと付き合うのではなく、信頼関係の築けている商社・問屋さんとだけ深く付き合っていくという方針。
商社・問屋さんの売上も、良い方のカテゴリーの会社さんだけで約90%を占めている。

理由は、いくつかある。
ざっくり、末端顧客のコントロールが目的なのですが、以下のような理由です。

原料は末端顧客が選ぶ時代になったため
・受託加工会社さんの脱 商社・問屋さん化
・末端顧客の冒認出願・改良発明への対策
・スパイ対策

近年、商社・問屋さんからの問い合わせのほとんどは、末端顧客からの依頼のことが多くなってきています。
要するに、寵愛という存在だけ。

その流通マージンに意味を感じなくなってきています。
昔からコミュニケーションを取りつつ仲良くやっている商社・問屋さんならまだしも、全く付き合いのない商社・問屋さんを通す意味を全く感じなくなっています。

すべての商社・問屋さんに供給を行う必要はないと考えています。
信頼のできる商社・問屋さんにだけ供給すればよいのでは?と考えるようになりました。

でも、そうはできないので、先述の通り、商社・問屋さんも2つに分類することにいたしました。まぁ、露骨に供給を断っても得なことは何もないので、価格で差をつけています。
取引量と信頼度(関係性)を反映させています。

ぶっちゃけ、取引実績のない商社・問屋さんから問い合わせがくるケースに限って、末端の顧客が商社・問屋さんは使わず、工場手配で購入されるケースが多いです。
結局、こういった場合、価格調査だったりすることが多い。

さて、次に、端顧客の冒認出願・改良発明への対策とスパイ対策という点ですが・・・
実際、商社・問屋さんが隠れ蓑になっている現実がある。



秘密保持契約を締結してくれない商社・問屋さんほど、隠れ蓑に利用されているケースが高い。
商社・問屋さんも、隠れ蓑になっていることを理解している。
そのため、受託加工会社さんは、ほぼ秘密保持契約を締結してくれますが、商社・問屋さんの締結率は、半分くらいです。
中間・末端顧客と直接契約させてもらうことも増えています。

最後に・・・
繰り返しますが、商社・問屋さんを粗末に扱うつもりは全くない。
商社・問屋さんとは、信頼関係を今まで以上に重要視し、選択と集中も検討するだけです。ただし、マイナスにしか働いてくれない商社・問屋さんを排除するというだけです。

この記事で紹介された弊社のケースは、商社・問屋さんにとっても、原料メーカーにとっても、いろいろ考えさせられる内容だろう。
時代は変化しています。
その変化に合わせて、我々も変化しなければならないのです。

【余談】2つの話題で・・・
私が脱 商社・問屋さんへと進むきっかけを作ったのは、名古屋の某商社(流通商社)の営業マン。
物凄く上から、高圧的に問い合わせを行ってくる。まめ鉄についても、OEMでしか供給しない方針について、物凄く難癖をつけてきました。
その時、売る方も顧客を選ぶ権利がある!と強く思いました。そもそも、顧客に対しての社交辞令はあっても、ビジネスに、上下はないと思う。

ちなみに、この商社さんは、この営業マン以外の営業マンにはとても世話になっているため、(この営業マンには供給開始を知らせず)しっかり原料供給を開始している。そこは、感情だけで行動しない。

そもそも、米国市場では、寵愛という存在はない。
その代わり、販売代理権を獲得するため、原料メーカーに資本を入れたり、販売権を買ったりする。また、販売ノルマを負うことが多い。
(販売ノルマを負うことなく商習慣だけで安い価格で購入できる日本の商社・問屋さんの異質さは、こういった点から見えるだろう。)
最たる例は、ロンザさんで、原料メーカーを買収しまくって総合商社化している。買収した原料メーカーの流通を完全に牛耳っている。
日本も、米国市場に近づきつつあるのだろう。弊社は、それに近いことを10年前から行っている。

実際、最大手の受託加工会社も、脱 商社・問屋さん化している。
案件成約に私もかなり尽力した顧問先の原料まで、直接購入に切り替えられた。(これは、ちょっと根に持っている。)

やっぱり、時代は、変化しつつあるんだろう。
ドライに線引きしつつも、顧客を大切にする姿勢は、崩してはいけなのだろう。

5ーALAの原料流通を見ていても、大企業だけで中小企業は全く大切にしている感がない。
それで、市場が大きく広がるとは、全く思えない。
業界の商習慣を無視したが故だと思う。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。