男性機能系では人気の2成分:L-シトルリンとt-レスベラトロールについて、以下のような報告を見つけたので、要旨を翻訳してみました。

L-シトルリンとt-レスベラトロールの経口摂取によるホスホジエステラーゼ5阻害剤を使用する男性の勃起機能を改善:無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバーパイロット試験。


要旨(アブストラクト)
イントロダクション:ホスホジエステラーゼ5型阻害剤(PDE5i)は、勃起不全(ED)のほとんどの男性に対する第一選択治療です。効果がない場合は、真空勃起装置、海綿体内注射、および陰茎補綴物の埋め込みが、二次治療または三次治療として適しています。しかし、これらの治療法を選択する患者は、ほとんどいません。効果的な薬剤の経口投与によって勃起機能を改善することは、非常に重要です。 L-シトルリンまたはtーレスベラトロールを動物実験で投与すると、勃起機能が改善されることが報告されていますが、EDのあるヒトではそのような試験はほとんど行われていません。
目的:PDE5i使用しているED患者におけるL-シトルリン・トランスレスベラトロールの併用治療の有効性を試験することを目的としました。
方法:このパイロット的なランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験では、PDE5iを頓用するED(男性の性的健康インベントリー[SHIM]スコアが16未満)の男性がアクティブな治療(L-シトルリン800 mg /日およびt-レスベラトロール300 mg /日)またはプラセボを一ヶ月置きに受けました。患者はPDE5iの頓用を継続しました。
主要評価項目:SHIMスコア、勃起硬さスコア(EHS)、老化男性の症状スケール性的ドメイン(AMS-SD)、および有害事象を調べた。
結果:29〜78歳の20人の患者が登録され、6人の男性が離脱した後、13人が有害事象なしで試験を終了した。アクティブな治療の平均SHIMスコア(10.96±1.21)は、ベースライン(8.32±1.21)やプラセボ(8.31±1.23)と比較して大幅に増加しました(両方のP <0.05)。アクティブな治療の平均EHSスコア(2.56±0.26)もベースライン(2.31±0.26)から増加しましたが、有意差は認められませんでした(P = 0.79)。平均AMS-SDスコアは、どちらのグループでも有意差はありませんでした。
結論:我々知る限り、このPDE5i頓用とL-シトルリン・t-レスベラトロールの併用治療において有効性が示された男性のED治療の最初の研究です。 PDE5iが不十分な場合は、この併用サプリメントを追加しても良いだろう。
Oral L-citrulline and Transresveratrol Supplementation Improves Erectile Function in Men With Phosphodiesterase 5 Inhibitors: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Crossover Pilot Study. Sex Med. 2018;6(4):291-296.
 Pubmed (PMID: 30150102 )より

まぁ、バイアグラ・レビトラ・シリアスのようなホスホジエステラーゼ5阻害剤では効果が不十分な人への試験でした。
限られたニーズ。
それでも、貴重な臨床試験結果です。

ホスホジエステラーゼ5阻害剤もシトルリン・レスベラトロールも、血管の弛緩拡張を行う一酸化窒素(NO)が作用の根源にあるのだが、発生のさせ方が異なります。

特に、シトルリンは、NOを産生するオルニチンサイクルの重要成分ですから、それを補えば、NOの産生量も増えそうです。
アルギニンを加えると、もっと産生量が増えそうです。
実際、以下の論文では、ウサギを使って、アルギニン・シトルリン・抗酸化物質(ビタミンCとE)でNO産生量が上がることが報告されています。

l-Citrulline and L-Arginine Supplementation Retards the Progression of High-Cholesterol-Diet-Induced Atherosclerosis in Rabbits. Proc Natl Acad Sci U S A. 2005;102(38):13681-6.

シトルリンの詳細は、弊社ページへ。


今回は、抗酸化物質としてレスベラトロールが用いられましたが、別のポリフェノールや抗酸化物質でも良かったと思います。
理由は、レスベラトロールの女性ホルモン様作用です。
流石に、300mgも摂取すると、影響が生じる可能性があるでしょう。

私だったら、赤ワイン由来のもので、レスベラトロールを30mg以内に留めながら、OPCやプロシアニジンを摂取させます。
(弊社の赤ワインエキスも、規格されていませんが、プロシアニジンが十数%ほど含まれます。)
実際、プロシアニジンが規格化されているピクノジェノール(120mg/日)を用いて、同様な結果が示されていますからね。

Natural Polyphenols Improve Erectile Function and Lipid Profile in Patients Suffering From Erectile Dysfunction. Bratisl Lek Listy. 2019;120(12):941-944.
Pubmed (PMID: 31855055 )より

まぁ、これら文献に基づいた商品設計を行う場合、私なら、協和発酵さんの特許に注意しながら、シトルリン(800mg/日)・アルギニン・赤ワイン由来レスベラトロールで設計するでしょうね。
赤ワインエキスのW特許も活用しながら。

実際、この設計の商品を摂取して、男性機能に変化はなくても、動脈硬化性疾患の予防など体には良いと思います。

是非、皆様も、これら論文を参考にして、商品設計していただければと思います。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。