実は、先々月より、新しいメーカーの亜鉛含有酵母を輸入し始めました。
主に、自社のOEMに使用するため。

この亜鉛って、滋養強壮だけでなく、美容商材の体感素材に利用できたり、育毛サプリの主剤の1つにも利用できたりするので、とても便利な素材なんです。

黒点の問題で、いろいろ既存顧客から相談も受けていたので、外販しても良いかなぁと考えています。

黒点が生じるのは、洗いが不十分だからだと考えています。
洗いが甘いと、糖質が残ります。
その糖質の量が多いと、焦げ付きを生じやすく、黒点を作ってしまうのです。
そして、その黒点がソフトカプセルなどで問題になります。

まぁ、どうしても、亜鉛含有量を保ちながら粉末化しようとすると、洗いが甘くなります。
製法によっては、洗い過ぎると、亜鉛が減っちゃいますからね。

この亜鉛酵母は、今まで見た亜鉛酵母の中で最も品質が良いです。

何と言っても、培養時の1回しか亜鉛源が投入されていない!
意外に画期的。
それでかつ、結晶物が検出されない!

zincyeast

結晶物が含まれない場合は、こんな感じにブロードなピークが示される。
含まれると、シャープなピークが示され、データベースと照らし合わせると、どんな成分なのかが定性できる。

粗悪な原料だとX線分析で指定外添加物の酸化亜鉛などが残留粗原料/残留結晶物として検出されてしまう。
未だ、こういった原料が流通する。
理由は、添加物をブレンドしているだけの粗悪な亜鉛酵母の原価が培養時に添加している原料に比べて1/4程度だから。
亜鉛源も、残留しにくい硫酸亜鉛より残留する酸化亜鉛の方が安いからという理由で選択されていることが多い。
業界の闇の部分。
そりゃ、儲かるもん。

この条件で10%の亜鉛酵母を製造するのは、なかなか困難だったのだが、このメーカーは、それを可能にしています。
中国で作っていること以外、マイナスポイントはない。
まぁ、当然、先述の粗悪な亜鉛酵母に比べると、割高ですが・・・。
今や、食品加工の技術力という面では、中国の方が高いケースが多いです。その代表例。

やはり、植物検疫では、中国製造品なので、結構、細かくチェックが入りました。

酷い話、残留結晶物の品質管理方法に対して、分析方法を解説させられました。
分析機器の条件の説明や原理など。
通関とは、関係ないじゃん・・・。

ちなみに、東京検疫所に事前相談した際も、分析方法概要の解説を依頼されました。
私の論文が残っていたのもあり、丁重にお願いされました。
一方、通関時は、命令だたので、気分良くなかったです・・・。まぁ、東京と横浜で連携がとれてないのは仕方ないことなのだろうが・・・。

昔と違って、適当な分析方法で検証されているか? などという点までチェックされます。
良いことなのだが、面倒です・・・。

例えば、試験成績書上の分析条件では、ターゲット:銅 とされていて、亜鉛を測るのにどうして銅なのか?という質問を受けました。

このターゲット(ターゲット金属)と言うのは、X線分析の場合、X線管球の素材を指します。
通常、原子番号の高い金属が望まれるため、主に銅が用いられています。
X線分析を知っていれば常識であり、ちょっと調べればわかることでもあります。

まぁ、こういったチェックが植物検疫でも指導されるようになり、粗悪原料が減るならば、業界にとって、良いことだと思います。
こういった原料は、問題になる前に、通関時に止められた方が良いです。
その方が業界のため。

ちなみに、5kgの梱包形態を崩すつもりはないです。
今、1kgに小分けすると、送料負担が大きくなってきているので、原料価格、人件費やコンタミリスクなどを考えると、得策ではないです。
基本、販売先は、大手さんもしくは受託加工会社さんになるだろう。汎用原料になっていることが多い原料でもあるので、5kgくらいすぐ使ってしまえるだろう。

何れにしても、品質を大切にする顧客に活用していただければと思っております。
まぁ、ニーズはあるだろう。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。