多くの女性は、妊娠中、間違った量の葉酸を摂取しています!
私がインタビューした中では、百発百中でした。
医療関係者でさえ勘違いしていることがほとんどです。極稀なケースですが、女医監修のサイトで、間違って紹介されているケースも存在します。まぁ、栄養学を知らない女医さんなんだなぁと思いつつ、困っちゃうなぁと思っています。

まず、妊活中の女性(妊娠を計画している女性、または妊娠の可能性のある女性)は、妊娠が発覚したら葉酸摂取量を減らさなければならないことをご存知でしょうか?

妊活中の女性は、一般女性の推奨量の240µg(240µgDFE)に加えて400µg(800µgDFE)の葉酸を摂取することが推奨されています。加えて摂取する量のことを付加量と言います。
そして、妊婦は、付加量を240µg(240µgDFE;合成の葉酸で120µg)まで減らす必要があるのです。
※DFE:食事性葉酸塩当量 食事で葉酸を補う場合を想定した摂取量

多くの女性は、”妊婦"が"400µg”の葉酸を摂取しなければならないと勘違いしているのです。
それは間違いです。
そして、合成の葉酸で400µg(800µgDFE)もの量を補っています。
正しくは、妊活中の女性が+400µgの葉酸を、妊婦が+240µgの葉酸を摂取しなければならないのです。

生物利用能を加味すると、560µgDFEもの葉酸を過剰に摂取しているのです。
妊娠後期の葉酸の過剰摂取(1000µg以上)は、小児喘息の発症リスクを高めるという報告※も行われているので、注意が必要です! よくあるケースとして、葉酸サプリと一緒にマルチビタミンを一緒に摂取していたら、多くのマルチビタミンには200µg(400µgDFE)の葉酸が含まれていますので、結構な量の葉酸が取れちゃうのです。

※Whitrow MJ, Moore VM, Rumbold AR, Davies MJ. Effect of supplemental folic acid in pregnancy on childhood asthma: a prospective birth cohort study. Am J Epidemiol. 2009 Dec 15;170(12):1486-93.

葉酸は水溶性ビタミンだから摂り過ぎの心配はないというコメントをしているとんでもないサイトも存在しますが、それは別の機会に紹介します。

さて、こういった問題が起こるのは、なぜか?

ネット上に誤った説明をしているコンテンツが多いため

加えて日本人が栄養学に対してあまりにも知識がなさ過ぎるため

非常に困ったことです。
有知識者がきちんとチェックして、コンテンツを作ってもらいたいです。

実際、コンテンツをライティングしている方の多くは、アルバイトなどの素人の方なので、どうしても間違えが起こってきます。そして、誤った記事を見て、コピペ記事を作るライターさんが、さらに誤った記事を拡散します。
非常に困った状況です。
厚生労働省は、きちんと正しい摂取量を公開しているのに・・・。

先述の女医さん監修のケースなどは、ちょっと恥ずかしいケースなのですが、影響力があるので、ほんと、修正してもらいたいです。

酷い例では、母子手帳の記述の写真を組み合わせて、妊婦は400µgの葉酸を摂取する必要があると誤った説明をしています。
母子手帳には、目的(効果)までは明記されていても、摂取量まで明記されていません。妊婦の摂取量400µgとは、どこにも書かれていません。
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 写真は、2006年のもの。
ちなみに、中には「食事や栄養補助食品などで」と書かれているものもあるようです。

まぁ、いずれにしても、こういった根拠のないコンテンツは、Googleで上位検索されなくなってきます。
今後のコンテンツ型マーケティングは、エビデンスが命ですから。
消費者も、自己防衛として、真偽を見抜けるようしっかり勉強した方が良いです。

本ブログの記事は、基本、こっそり見られることを望んでいるのですが、この記事に関しては、シェア・拡散していただけると助かるなぁとも感じています。
やっぱり、正しい大事な情報は、多くの方に伝えられるべきだと思います。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。