もうぼちぼちテレビ東京でSPORTSウォッチャーが始まる頃でしょうか?
今回は、この番組の内容を補足した記事です。

ウサイン・ボルトがヤムイモを主食として食べていて、それが速さの秘訣であるというコメントをボルト選手の父が行っています。過去、それがニュースにもなりました。

さて、裏方の私は、まず、ヤムイモのジオスゲニン含有量を調べた文献を探しました。そして、この文献を発見しました。
Diosgenin contents and DNA fingerprint screening of various yam (Dioscorea sp.) genotypes.
番組は、この文献をベースに構築されています。
適当に作られている訳ではありません。

さて、この文献を補足して解説すると・・・以下のようなことが言えます。
・ジャマイカのヤムイモはジオスゲニン含有量が多い。
・自然薯のジオスゲニン含有量は少ない。
・ジャマイカのヤムイモのジオスゲニン含有量は自然薯の十数倍も異なる。
・アジア原産よりアフリカ原産のヤムイモ種の方がジオスゲニン含有量が多い。
Z Naturforsch C J Biosci. 2006;61(11-12):847-55.

ちなみに、中国の山薬山芋:懐山芋の数値は文献で紹介されていないのですが、実は、懐山芋のジオスゲニン含有量の方が多いです。この文献で最も濃いものが0.9に対して、懐山芋は1.0を超える。
この点は、焦点がボケるという理由で、撮影クルーの方々と話し、紹介しないことにいたしました。

ジオスゲニンは、ステロイド骨格を持った植物サポニンです。ホルモン剤やステロイド剤の出発成分としても知られており、このジオスゲニンから様々な薬が合成されています。

まぁ、いずれにしろ、そんなにジオスゲニンをたくさん含むヤムイモを日常的に摂取している訳ですから、強くならないはずないんでしょうね・・・。
実際、ジオスゲニンの効果を体感しているアスリートも私の近くにいらっしゃいます。
だからと言って、ジオスゲニンは、代謝が複雑なため、ドーピングに引っかからないでしょう。
そもそも、ジオスゲニンでドーピング引っかかるなら、ヤムイモを主食としている地域の方は、オリンピックに出場できないでしょうから・・・。

参考(過去の記事):HMBのお供に山芋ジオスゲニン、合法ドーピング!?

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。