最近、パーソナルトレーナーさんなどからの依頼などで、スポーツ系のサプリを作ることが多いので、ドーピングの話をしてみたいと思います。
商談を進めていると、必ず話題になりますので・・・。
この点は、政治的なものもあるので、非常に奥が深いです。

アスリートが利用するものとして、ドーピングとサプリメントは、密接な関係というか、紙一重の関係にあります。
結果を求めるアスリートは、当然ながら、ドーピングに引っかからないのであれば、パフォーマンスが上がるサプリメントを(こっそり)利用したいという心理が働きます。過去、国間で、そういった商品の開発が行われたこともありました。ロシアのパフィアなどは有名です。
いずれにしても、ドーピング検査を受けているアスリートがサプリメントを利用する場合、必ず注意しておく必要があります。

ドーピングと言っても、いくつかのカテゴリーに分けられれます。

・常に禁止される物質
・競技会(時)に禁止される物質
・特定競技において禁止される物質


詳しくは、世界アンチ・ドーピング機構のページをご参照ください。

基本的に、ビタミン(コエンザイムQ10 やL-カルニチンなどの一部のビタミン様物質も)・ミネラル、アミノ酸や一般的なプロテインは、問題になることはないでしょう

ただし、サプリメントに限らず、漢方などのハーブ系の商材は、注意が必要です。特に、燃焼系のハーブは、興奮薬に類似しているものも少なくありません。
例えば、葛根湯。葛根湯の含まれている麻黄の有効成分「エフェドリン」は禁止物質にあたります。
興奮薬は、覚醒作用で集中力を高めたり、血流を良くしたりなど、プレワークアウトとしても利用できるので、便利なんですが、まさに紙一重です。

ちなみに「ブプロピオン、カフェイン、ニコチン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピプラドール、シネフリン:これらの物質は2015年監視プログラムに含まれ、禁止物質とみなさない」とされ、現在でもダイエットサプリに利用されているシトラスのシネフリンやコーヒー・緑茶のカフェインなども監視される成分となっています。

競技会(時)に禁止される物質
S6. 興奮薬

http://list.wada-ama.org/jp/list/s6-stimulants/

例えば、緑茶カテキン・珈琲クロロゲン酸・生姜ジンゲロール・カプサイシンなどは、日常の一般食品で摂取できるので、ドーピング検査で引っかかる可能性は低いと思いますが、日常的に摂取することのない植物は、引っかかる可能性が高いと考えても良いかもしれません。

一方、ハーブ系のサプリメントは、日常的に摂取されることないハーブが配合されていることが多いです。ハーブ系素材の怖いところは、不可抗力の部分でドーピングに引っかかってしまう可能性がゼロではないところです。
植物は、人間が作り出せない様々な成分を作り出します。それが、不意に引っかかってしまう可能性があるのです。

私のサプリメント設計論ですが、スポーツサプリの場合、確実にドーピングに引っかからないもの(プロテイン、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなど)と多少でも引っかかるリスクのあるハーブ系のものは、利用するターゲット層(例:ドーピング検査の有無など)で分けた方が良いと思います。
不可抗力な部分もあるので、ドーピング検査を受けているアスリートは、必然的に、ハーブが配合されているサプリを避けるでしょう。私も、それは正しい判断で避けた方が良いと思います。

ドーピングについて、もう少し勉強されたい方は「薬剤師のためのドーピング防止ガイドブック 2015年版」をダウンロードされると良いと思います。
http://www.nichiyaku.or.jp/action/wp-content/uploads/2015/07/guidebook_web2015_1.pdf

ちなみに、弊社は、DHEAの類似体のジオスゲニン(フィトステロール)の原料を扱っているため、 極稀にボディービルダーさんからドーピングの問い合わせを受けます。そこは「今のところ、引っかかったという事例はありませんが、自己責任でお願いしております」とお答えしております。まあ、性ホルモンの前駆体の類自体であり、ステロールですからね。

私は、アスリートこそ、上手く商品を選択しつつ上手にサプリメントを利用するべきだと思います。疲労やダメージを低減してパフォーマンスをより高く保つこともできますし、選手寿命でも差が出てくるでしょう。今やサプリ漬けの私も、若い頃、もっと利用しておけばよかったと思っています。
アスリートにとってサプリは、すべてがダメではないことを理解していいただき、上手く付き合っていただければと思います。
半アスリートでもある私は、アスリートもサポートできるサプリメントをたくさん提供できればと思います。

ちなみに、商品でドーピング成分を分析したいというお客様は、結構いらっしゃいます。日本では、いろいろな訳あって実施できない状況があります。
一方、海外ではできるようなので、弊社のOEM商品に関しては、別途料金で分析代行を行うのも一手かなぁと企んでおります。
がんばらなきゃなぁ!

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。