今回は、ちょっと長めの記事です。

OEMの事業では、様々なお客様がいらっしゃいます。
弊社の場合、ニーズ・コスト(希望原価と販売価格)・使いたい素材・コンセプトを連絡いただき、細かい商品設計は「すべてお任せ」というお客様が最も多いです。
餅は餅屋ということみたいです。

同時に、かなり細かい商品設計の指定をなさる顧客もいらっしゃいます。そういった場合、一部のプロの方を除けば、ほとんどが素人なお客様のため、かなり無理のある商品設計を指定されることが多いです。例えば、以下のようなケースが多いです。

・オイル原料(多いのはDHA)で錠剤を作って欲しい。
・カプセル1粒に原料を大量(例:1500mg)に配合してもらいたい。
・多種(例:20種類の原料)の素材を一定量づつ配合してもらいたい。
・熱をかけないでドリンクを作ってもらいたい。

商品設計を行う場合、必ず以下の点を意識しなければならない点であり、我々がサポートすべき点です。我々の役割という意味でも、知っておいていただけるとありがたいです。

・原料の剤形適正
・配合可能量(カプセルサイズなど)の上限
・コスト感を意識した原料選定
・わかりやすい競合と差別化
・エビデンスに基づいた原料配合
・原料の梱包サイズ
・素材毎の市場成熟度(ライフサイクル)に適した原価率設定


基本的に、サプリメントの場合、使用原料の剤形適正というものがあります。
オイル成分でも、乳化してあったり、粉末化・ビーズ化されているもの(例:ルテイン、βカロテン、リコピン、ビタミンEなど)もありますが、基本、オイル原料は、ソフトカプセルに適しています。カロテノイドなどは安定します。
逆に、粉末原料は、ソフトカプセルに適していません。ソフトカプセルの場合、だいたい30%強しか粉末原料が入りませんし、加水分解しやすい原料には適しません。

配合可能量についてですが、例えば、一般的な2号ハードカプセルには、280mg程度の原料しか配合できませんし、かつ賦形剤という加工助剤も一定量配合する必要があります。

そういった配合可能量を考慮しながら、エビデンスに基づいて有効成分を配合していく必要があるのですが、同時に、コスト感を意識した原料選定が必要です。エビデンス量に固執しながら濃い原料をたくさん配合すれば、当然、高い商品になってしまいます。
以前にお話ししましたが、私は、販売重視と言っても意外にエビデンスベースで関与機能成分を有効量配合することが多いですからね。)

かなり商品設計の深いところですが、原料のコスパ(エビデンス量を配合した際のコスト)も評価しながら原料選定しなければならないのです。ここは、熟練したプロのフォーミュレーター(営業マン)でないと、難しい点です。
エビデンスとは、他社の配合量と勘違いしているお客様も少なくありませんが、学術論文のヒト臨床試験結果に基づく必要があります。
時には英語の学術論文も読まなければならないため、経験や資質も問われます。ここは、私の得意分野でもございますので、私どもに任せていただければと思っております。

さらに、OEM会社で実務を行ったり、原料を別途購入して原価計算を行ったことがある人間しかわからない点もあります。
その一つが原料の梱包単位を加味した商品設計というものです。OEM会社が常時在庫していない原料を使用する場合、一定の梱包単位で購入するんですが、必ずしも使い切れるとは限りません。使い切れなかった原料は、当然、商品原価に上乗せされます。
多種の素材を一定量づつ配合する場合、どれも工場が在庫を持っていない原料ばかりなら、とんでもなく無駄に高い商品原価になってしまうのです。
なかなかツーカーにならないと、OEM会社さんも教えてくれない事実です。私の場合、無駄の多い設計は、結果として顧客の成功を妨げることになるので、説明して顧客が納得するまで、見積りの前に商品設計すらしないですけどね♪

適正原価率設定については、この記事を参考にしてみてください。これが現実であり、市場を正しく理解しないと成功にはつながりません。
http://kuriyamayuji.doorblog.jp/archives/51439662.html

OEMの現場では、非常にナンセンスかつ理不尽な商品設計を要求してくる顧客もいらっしゃいますが、是非、この記事を読んでいただき、良い商品(顧客満足度が高く売れる商品)を作るお手伝いをさせていただければと思います。
引き続き、m(_ _)m何卒よろしくお願い申し上げます。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。