最近、機能性表示食品にも対応していることで、注目度がアップしているケルセチン/クェルセチン。
先日も、原料を紹介していただきました。

過去、ケルセチンは、私も取り扱ったことがある素材です。
そして、このケルセチンは、いろいろと制約がありました。

このケルセチンは、由来植物に制限があったのです。正確には、由来として認められているルチンの由来植物に制限があります。
既存添加物の定義として、ケルセチンは、「定 義:本品は、ルチン(抽出物)(アズキ(Vigna angularis(Willd.)Ohwi et H.Ohashi)の全草、エンジュ(Styphnolobium japonicum (L.) Schott (Sophora japonica L.))のつぼみ若しくは花又はソバ(Fagopyrum esculentum Moench)の全草から得られた、ルチンを主成分とするものをいう。)を加水分解して得られた、クエルセチンを成分とするものである。」となっています。
このルチンは、主に3つの由来植物が認められています。以下の3つ。

1.エンジュ
2.ソバ
3.アズキ

その中でも、厄介なのがエンジュです。
ケルセチンの中間原料であるルチンは、エンジュの花または蕾から抽出されます。一方、このエンジュの花と蕾は、医薬品指定されている素材なのです。一方、食品添加物での使用に関しては、由来植物として指定されています。矛盾があります。
一度、東京検疫所にも確認したのですが、食品添加物の由来植物としては使用しても良いとのことでした。

別の言い方をすれば、このエンジュ由来のケルセチンは、食品添加物でしか利用できないと言えます。
したがって、フェルラ酸と同じで、ケルセチン(酸化防止剤)という食品添加物の用途表記が必須になります。

先週木曜日に相談をさせていただいたのですが、消費者庁さんからも「添加物でしか使用できない」と、釘を刺されました。

一方、原料メーカーさんからの調査書では、用途表記の指定がないことが多いので、注意が必要です。そのまま(酸化防止剤)の用途表記を抜いちゃうと、表示違反になっちゃいます。

そして、ケルセチンは、食品衛生法上、このルチンを由来とすると記載されています。
(昔は、もっと詳しく、由来まで記述されていたように思えるんですけどね・・・。)
さて、ここで疑問が生じます。
ルチンは由来植物の制限があるのに、ケルセチンに関しては、中間原料であるルチンの由来植物の制限がないのか?です。
今回、それも消費者庁に訪ねてみました。

ちなみに、実は、世界には、もう1つ、ルチンの由来植物があります。
DIMORPHANDRA MOLLISという樹木です。
DIMORPHANDRA MOLLIS由来のケルセチンは、製薬会社メルク社(ブラジル)が作っているケルセチンです。この原料だけは、輸入できないようになっています。安価で品質が高い良い原料なのに・・・。
過去(14年前くらい)、東京税関でもNGが出たのですが、法律が変わっているかもしれないとも思い、再確認してみました。

結果、食品添加物の(運用ではなく)内容の解釈については、厚生労働省の管轄になる。最寄りの保健所もしくは(輸入素材なら)東京検疫所に問い合わせしてほしいと・・・。
まず、保健所。
やはりレベルが高いので、東京検疫所への問い合わせをということでした・・・。

そこで、東京検疫所への問い合わせ。
結果、今回、改めて照会したところ、ケルセチンの由来原料もエンジュ・ソバ・アズキに限ると書面回答がありました。
すなわち、DIMORPHANDRA MOLLIS由来のケルセチンは、相変わらず、輸入・流通できないとのこと。ダメな理由は、いろいろあるんでしょうね。
医薬品のカテゴリーには指定されていないようですが、使っちゃうと、回収騒動にもつながりかねません。
安いからと安易に使っちゃうと、えらいことにないそうです。
気を付けないといけないですね。続きを読む