特許に関しては、何度か記事にしておりますが、そういった記事を書いてきた背景も含めて、改めて記事を書いてみます。

2016年に特許法が改正され、食品の用途特許が認められるようになりました。

「食品の用途発明に関する審査基準」、「特許法条約への加入等を目的とした特許法等の法令改正に伴う審査基準」、「特許権の存続期間の延長登録出願に関する審査基準」の改訂について(特許庁 平成28年3月23日)

そして、機能性素材を取り扱う健康食品の特許戦略でも、大きな変化が生じています。

食品の機能性を知的財産として特許化できるようになり、メーカー同士の競争が激化しています。

特に、平成27年4月より機能性表示食品の制度が始まり、用途特許の有効性というものが格段に高くなっています。

私が特許戦争の現場にいながら感じること。

請求項の文言なども変化
→機能性表示食品のヘルスクレームで特許が有効に働くように

製法特許と用途特許の組み合わせが有効
→原料メーカーは、不用意に製法詳細を開示してしまうと、製法に絡めた用途特許が取得されてしまう可能性が

前者は、当然でしょう。
病気の疾患名などで申請されるより、もう少し幅広い機能として申請されれば、機能性表示食品の範囲に入ってきます。

あくまで、機能性表示食品は、疾患の治療や予防の目的でないことが明記されていますので、その疾患の治療や予防の領域に入らないような請求項にする必要性が出てきます。

薬機法というものがありますので、原則、効果効能は謳えません。

さて、今後、グレーゾーンの表示を行っている商品が用途特許の侵害に該当するか? また、疾患名で取得されている用途特許がどこまで有効性を示すのか?など、判例などをチェックしていく必要があるかと思われます。

後者については、ぶっちゃけ、製法を絡めた方が、新規性を打ち出しやすいので、特許は取得しやすくなるでしょう。
いくつもの特許申請の経験がないと、なかなか理解できないこと。

そのような状況になってくると、品質管理以外の目的外使用を秘密保持契約書で縛っていかなければ、致命的な特許を取得される可能性が出てきます。

下町ロケットのように、急に莫大な金額の特許料を請求されたり、販売の差し止め請求が行われてしまう可能性が生じます。

顧客にも迷惑がかかってしまいますし、特許によって会社が傾きかねません。

そんな危険性も生じているのが、2016年の特許法改正であることが、徐々にわかってきました。
原料メーカーも、すぐに対応が必要です。
商社さんや問屋さんを隠れ蓑とする会社さんも出てきています。ほんと、注意が必要です。

弊社も、秘密保持契約書の締結を、情報開示の条件とし始めています。
なかなか難色を示す企業さんもいらっしゃいますが、今回の記事の通り、品質管理以外の目的外使用が行われないよう企業防衛は絶対に必要です。
その点は、ご理解いただければなぁと思っております。

参考:
特許の簡易調査方法とチェックポイント&注意点