先日、このような記事を見つけて、豆由来のフェリチン鉄は、後進国における栄養(鉄)不足にも活用されていることを知りました。

鉄強化豆の食事はルワンダの貧血の女性の健康を改善

この原文も目を通してみました。
Increased Iron Status during a Feeding Trial of Iron-Biofortified Beans Increases Physical Work Efficiency in Rwandan Women. J Nutr. 2020;150(5):1093-1099.

同時に、Biofortification(生物学的栄養強化)というものを初めて知りました。

まずは、この報告の紹介ですが、鉄強化された豆の18週間の摂取で、ルワンダの女子大学生の身体活動能力が改善されたというものです。
被験者は、鉄欠乏の症状がみられる16-25歳の女子大学生ということなので、被験者は、鉄欠乏により、身体活動が低下していたのでしょう。

そして、鉄強化された豆を摂取した貧血女性は、ヘモグロビン(Hb)と体内鉄状態(;フェリチン値)が回復していることが示されています。

まぁ、この報告は、鉄強化された豆の有用性を示すことが目的なので、解説はここまで。

今回は、この報告をもう少し解説してみたいと思います。

おそらく、豆は生のままで食べれないため、当然、調理で加熱して食されているだろう。
大豆に限らず、豆中の鉄は、フェリチン鉄として存在します。フェリチン鉄は、ヘム鉄と同じく、包まれた形の生体鉄。大豆由来のフェリチン鉄の吸収性が良い点も、確認されています。
vs hem
カリフォルニア大学のエリザベス・タイル教授らは、すでに1990年には大豆由来のフェリチン鉄の研究を手掛けいます。

Evidence for conservation of ferritin sequences among plants and animals and for a transit peptide in soybean. J Biol Chem. 1990;265(30):18339-44.

豆から鉄を摂取するという点ついて、日本では、まだまだ新しい知見だが、海外では、少しづつ認知が広まっているのでしょう。

そして、豆中のフェリチン鉄は、調理による加熱でアポフェリチンが分解すると予測されます。一方、フェリチン鉄のコア(核)であるナノ鉄は、フェリチン鉄と同じエンドサイトーシスで吸収することが以下論文で報告されています。

A nanoparticulate ferritin-core mimetic is well taken up by HuTu 80 duodenal cells and its absorption in mice is regulated by body iron. J Nutr. 2014;144(12):1896-902.

おそらく、調理された豆中の鉄は、フェリチン鉄内コアのナノ鉄(生体が利用できるナノ上の鉄)として吸収されているものと予測されます。
また、アポフェリチンは、分解し切っておらず、一部は変性しながらも残っている可能性もあるだろう。
そういった摂取の仕方でも、豆由来のフェリチン鉄は、しっかり貧血を改善させるようです。

最後に、Biofortification(生物学的栄養強化)についてだが、これは、SDGsの一環で行われている活動なのですが、私が説明するより、以下の国立研究開発法人 国際農林水産業研究センターの説明ページを読むと良いでしょう。上記のルワンダの報告とも関与していることも伺えます。



ちなみに、実は、新型コロナウイルスとも関係がない訳ではないです。
やはり、低栄養だと、ウイルスに対する抵抗力を十分に持てません。

一方、どうしても引っかかるのは、生物学的栄養強化の手法についてです。
土壌改良や品種改良という手法もあるだろうが、やはり、最も効率が良い手法は、遺伝子組み換えだろう。
比較的、遺伝子組み換え作物に寛容なアメリカ主導で動くと、遺伝子組み換えの作物が用いられるだろう。
食べるものに困っている貧困国なら良いのか?という疑問も生じてしまいます。
この点については、もっと勉強していこうと思います。

我々が取り扱う有機大豆由来フェリチン鉄素材(まめ鉄)も、生物学的栄養強化をされた豆から抽出すると、より効率的に鉄を摂取できるようになるだろう。
どんな生物学的栄養強化なのかを知り、それが良いことなのかも、しっかり評価していかなければならないだろう。

また、豆由来のフェリチン鉄について、我々の視点でもっと研究開発を進めていくべきだろうと感じました。
私がやるべきことは、まだまだたくさんありそうです。