最近、医師を用いた葉酸サプリの広告が目につくようになった。広告規制が緩い・・・。これは、医薬品等適正広告基準(厚生労働省)の観点上、問題となる。違反である。

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メルミー葉酸サプリ
Yahoo! 上のアドワーズ広告(2019年1月21日掲載)

医薬品等適正広告基準(Wikipedia)とは、日本の薬機法に基づいて、医薬品などの広告が虚偽・誇大にならないよう適正を図るために厚生省薬務局長(現厚生労働省医薬食品局)長から各都道府県知事に宛てた通知の形式により発出された基準です。
※Wikipediaの方では、概要が上手くまとめられています。

その基準には「医薬関係者、理容師、美容師、病院、診療所その他医薬品等の効能効果等に関し、世人の認識に相当の影響を与える公務所、学校又は団体が指定し、公認し、推せんし、指導し、又は選用している等の広告は行わないものとする。」という記載がある。

したがって、こういった医師を前面に出した広告は違反となる。
そのため、医師は、インフォマーシャルでも、医師の肩書で白衣を着て成分などの解説ができない。
おそらく、対象の法規は、薬機法だろう。
もしかすると、優良誤認という景品表示法の対象にもなるかもしれない。
今後(6月の改正後)、薬機法でも課徴金が課されるので、ダブルで課徴金が課される可能性もある。

私は、クリニック向けのサプリを多く作る関係上、どうしても、この基準を加味してパッケージ作成を行わなければならず、毎回、苦労する。
院長先生が販売者となる場合、販売者でのクリニック屋号の(必要最低限の)記載は認められているが、強調表記は行ってはいけないと指導を受けている。
例えば、クリニックに直結するURLも記載してはいけない。

さて、話は、この商品の話に戻し・・・。
この商品には、葉酸サプリにみられる大きな問題が見られる。

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妊婦期の葉酸の付加量は400µgではない!

詳しくは:多くの女性が勘違いしている葉酸の摂取量

医師や管理栄養士が監修していて、どうしてこんなことが起こるのだろうか?

儲け主義で商品設計を行うと、必然的に起こる事象なのだろう。
監修する側も、しっかりと見定めてもらいたいものです。監修者の評価も落ちるだろう。特に、行政指導で晒された時。

また、ヘム鉄由来とピロリン酸鉄の割合は定かではないが、鉄によるフリーラジカルの害(胃もたれや便秘)が生じてしまう可能性があるだろう。
フリーラジカルを発生しない鉄はフェリチン鉄だけであり、ピロリン酸鉄やクエン酸鉄ほどではないがヘム鉄もフリーラジカルを発生します。フリーラジカルを発生する鉄剤を毒と考える医師も存在するくらいだ。
妊婦は便秘薬を利用しにくいので、特に、鉄選びは慎重になってもらいたい。

鉄の摂取って難しく、鉄の素材によって吸収率も異なるので、量だけで判断してはいけない。
吸収の良い鉄素材で鉄を摂取するのであれば、15mgも摂取する必要はないと思う。

このサプリは、某葉酸サプリを模倣しただけのサプリだ。売り方が違うだけ。
販売者は、この手の妊活や妊婦を対象としたサプリを作るのであれば、トコトン勉強して、商品を作るべきだと思う。

何れにしても、消費者は賢く商品を選ばなければならない!

是非、こういった記事を参考にしていただければと思っております。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。