今回は、健康食品業界の素朴な疑問について、解説してみたいと思います。今回の内容が解説されることは、なかなかないでしょう。

なぜ、ゴミ商品が作られ続けるか?

答え:広告の費用対効果が悪いから
そして、広告費用対効果から逆算して商品設計されるから


例えば、サプリメントの成果報酬型のアフィリエイト広告は、成果報酬が販売価格の200~400%と異常な値が設定されていました。定期で縛って、必ずリピート購入されるから、という広告サイドの勝手な理由から生まれた値です。
当然、定期縛りができなくなれば、その成果報酬率も下がるが、それでもまだまだ高過ぎる状況があります。

こういった成果報酬が設定され、想定される広告費用対効果から逆算すると、商品原価率は極限まで低くしなければならない。
だから、数のクリエイティブだけのゴミ商品が作られる。
数のクリエイティブ用のミックス原料を作る受託過去会社まで出てくる始末。容易に20~30原料の0.0001%配合が可能になる。

効果を期待できなくても、数のクリエイティブで消費者を上手く騙して、広告費用対効果が合って利益さえでれば良いという会社が多いため、ゴミ商品だらけの市場になってしまう。

これは、数のクリエイティブの取り締まりが強化されない限り、ずっと続くだろう。
詳しくは
>>景品表示法及び健康増進法の解釈拡大によるリスク

消費者庁は、なぜ?景品表示法及び健康増進法の解釈拡大で数のクリエイティブの取り締まらないのかが不思議でたまらない。
消費者が騙された後に摘発するのではなく、解釈拡大の違反事例を示して、消費者が騙されるのを未然に防ぐべきだと思う。

そもそも、広告代理店さんや通販コンサルさんが立てる事業計画(シミュレーション)は、ほとんど意味がない。
広告代理店に所属しながら、常に思っていたこと。
商品原価も、そのシミュレーション上で逆算される。

販売の担当者が予算申請する時に経営陣から求められるから言って、広告代理店やコンサルに作らせる。
シミュレーションは必ず黒字になるように作られる。
広告予算を勝ち取るためだけですから。
机上の空論で、非常にばからしい話である。

リピート率やLTVは、商品によって変動的であり、定期縛りができず、顧客満足度の低いゴミ商品で展開すれば、リピート率やLTVは、散々なものになる。
購入して騙されたと感じれば、リピート購入されるはずがない。

基本、広告費用対効果も含め、このリピート率やLTVも甘い数値で試算されるため、

必ず下振れする!
黒字転換しない!


だから、ほとんどの会社が収益の出ない広告費を垂れ流す。また、広告費さえ取れれば良いので、利益が出る部分のCRM周りを放置されるケースも少なくない。
厳しく言うと、ゴミ商品は、CRM周辺のコストをかけるだけの価値がない!

ゴミ商品は悪循環しか招かない!

まぁ、そういった会社は、顧客満足度は全く考えず、儲かることしか考えていないから、痛い目に合えばよいと思う。
健康に関わる産業の場合、顧客満足度の追及のような社会貢献性がない企業は存在すべきではないと思う。

結局、儲けだけの販売者は、最悪、真っ黒な広告で展開して、課徴金の支払い命令を受けてします。まぁ、それで販売者が倒産しても、広告代理店やコンサルは、別の顧客を探せばよいだけで、全く痛くはない。
実際、メディアの力で嘘も本当にできてしまうようなインターネット市場なので、そういったことが簡単にできてしまう。
これが現在の健康食品EC市場の現実です。

こうった状況は、販売教唆が厳しくなって、広告代理店やコンサルに責任が問われる事例が示されない限り、ずっと続くだろう。
まぁ、自ずと、この方式では儲からないことに気が付き、騙される会社も減っていくだろうが・・・。

何れにしても、本記事によって、ゴミ商品ができる仕組みやゴミ商品が儲からんことも理解された方も多いと思います。
そういったことを理解した上で、どんな商品を作るかをしっかり考えていただければと思います。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。