私は、特許と縁があるようで、どの会社でも常に特許担当です。ここ十数年、毎年1本くらいのペースでは出願し続けています。お陰様で、4人の弁理士の先生とお付き合いする経験を持つことができました。
まぁ、弁理士さんって、得意不得意もありますし、能力も千差万別です。
各先生方には、いろいろと思うこともあります。
今が一番満足している。

出願する特許周辺のことを全く知らないけど、言われるままに出願だけさせる弁理士さんもいらっしゃれば、その特許周辺の事情をよく理解され、的確な内容で出願してくださる弁理士さんもいらっしゃいます。
薬学博士や医学博士も持っていらっしゃる弁理士さんも存在します。プロ中のプロの弁理士さん軍団です。

私の経験上、健康食品関係で弁理士さんを選ぶ場合、以下の条件をできるだけ満たされている方が好ましいです。

健康食品周辺の関連法規を理解している先生
科学に詳しい理系の先生
狭くても通すためのノウハウを持っている先生


私が一番重要だと思うのは、一番最初の健康食品を知っている弁理士先生であること。
大きく差が出ます。
(通すためのノウハウは、先生の実績を見ればわかる。健康食品の経験値も。)
健康食品の場合、関連法規の縛りがあるので、用途特許を取得しても、ほとんど効力を発揮しない特許というものも存在します。

例えば、疾患の治療や予防に関連する特許は、効力を発揮しにくいです。機能性表示食品では「本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。」と明記させるくらいでさから、治療や予防は食品の範囲を超えるという見解なのでしょう。

一方、反対に、特許の有用性や一致性まで示しにくいため、優良誤認という形で特許としての効力を発揮してしまう場合もあります。
特許の難しいところ。

そのため、行政は、特許番号の表示を優良誤認として見なすケースも多々あるのです。
特許申請中は、完全にアウト。

自社の特許でない場合も、使い方によっては、アウトになるケースも多々ある。
だから、弊社の場合、原料メーカーの特許は、パッケージに表示させない。

例えば、どんなに無意味な特許であろうと、特許番号が示されていれば、大概の消費者は凄いと思ってしまいます。
例え、実際の製法と製法特許の内容が一致していない場合でも、騙されてしまう可能性があるのが特許です。
よくある話。

さらに、近年のネット上のLPで多いケース。
特許成分は、耳かき一杯分の極わずかしか配合されておらず、特許成分という文字だけが際立つ。
完全に優良誤認だと思う。

また、反対に、非常に強い効力がある広い特許でも、特許に抵触できるかを証明できないため、効力のない特許というものも存在します。
その他、本当のノウハウが隠され、場合によっては、あえて実際の製法と異なる条件で特許申請されているケースも存在します。特許申請は、ノウハウ理由出にもつながりますので。

ほんと、こういった部分があるので、特許戦略って難しいと思います。
なので、優秀な弁理士さんのサポートの存在は大きいです。有効的な特許戦略って、弁理士さん選びから始まっているのかもしれませんね。

ちなみに、今回は、特許の話ですが、近年、用途特許は取りにくくなっていて、商品の販売会社さんは、特許で抑えにくくなっています。まぁ、牽制目的が良いところ。
一方、商標の部分では、インターネット上のワードの取り合いが始まっているため、ニーズが高まっています。まぁ、ネット上で本気で商品展開するなら、商標は取得しておくべきです。
何れにしても、コピー商品合戦の健康食品業界、企業防衛の戦略の必要性が高まっているのです。

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。