以前、非常に反響があった酵母葉酸の記事ですが、社内からも社外からも、同じような質問を受けました。

ミネラル酵母と何が違うの?
という質問です。
ミネラル酵母も危ないの?という質問まで受けました。

これが全く違うんです・・・。
今回は、違いを解説したいと思います。

まず、どちらの製品も、酵母にミネラルやビタミンを添加しています。
何が違うかは、添加された成分の酵母内での形状です。

ミネラルの場合、酵母内のタンパク質と結合します。
そのため、X線分析では、きちんとタンパク質に結合した形で検出されます。
添加されたミネラルが酵母内に取り込まれ、タンパク質に結合した形状に変わっているのです。そのため、ミネラル酵母は、指定外添加物で強化されていても、問題なく流通できるのです。まぁ、指定外添加物が残留している原料も存在しますが、長年、お目こぼしされているのが現状。

一方、ビタミンの場合、ビタミンのまま形状を変えずに存在します。例えば、酵母葉酸なら、添加された合成の葉酸の形状であるモノグルタミ酸型で存在します。
だから、ビタミンとして規格化できるのです。酵母に取り込まれて形状が変わってしまうと、規格化できなくなります。
ただし、問題は原材料表示です。輸入は問題ない。

過去(5年前くらい)、私も、酵母葉酸や酵母ビタミンの輸入を試みました。
その際、東京検疫所に事前相談を行ったのですが、輸入はOKだけでど表示は気を付けて!と指摘されました。
「基本、添加されているビタミンは食品添加物だから、酵母に添加していても輸入は問題ないでしょう。
ただし、原材料表示では酵母とビタミン(食品添加物として)は別々に表記すべき。」

と指導を受けたのです。

酵母が取り込んでいるとは判断されず、混合・含浸しているだけと判断されたのです。
混合・含浸しているだけだから、ビタミンの含有量も規格化できるわけですからね・・・。

まぁ、よく考えれば、そうですわなぁ~。
私は、そこで断念しました。別々に書かなきゃダメなら、食品添加物表示が必要になり、意味ないですから・・・。
そういった行政指導を受けてしまったので、弊社では、他社の原料であっても酵母ビタミンを酵母としてだけ表示を行うことができなくなった次第なのです・・・

よくよく考えると、酵母葉酸などは大きな問題にならないですが、酵母ビオチンなどは、食品表示法(食品衛生法)上、問題になります。
ビオチンは、使用基準として保健機能食品と母乳代替食品にしか使用できないようになっています。酵母ビオチンを使用すると、保健機能食品以外にでも利用できるという脱法が可能になるのです。
まぁ、これがベースにあり、東京検疫所も指摘したんでしょうね。酵母とビオチンを別々に表示しなければならなければ、保健機能食品にせざる終えなくなりますからね。

みなさん、何が違うか、ご理解いただけましたでしょうか?

今まで大丈夫だった表示がいきなりダメになり、そして、行政から指導を受けてしまう世の中です。
時代は変化します。
また、原料メーカーの原材料表示名の例は、行政に相談されていないものも多いです。ぶっちゃけ、私は、信用せず、製造工程表から自分自身で判断します。時には、原料メーカーに指摘し、行政に相談させるケースもあります。
近年、景品表示法が非常に厳しくなってきていますが、食品表示法は昔から非常に厳しいです。
気を付けてくださいね!

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。