アウトバンドのコールセンターの業界も、近年、し烈になってきているようです。
1件150円(通話料込)というアホみたいな金額で見積もりを提示してきている会社さんも出てきているようです。6、7年前は、広告代理店に所属していましたから、この価格の異常さは、よく理解できます。
正直、使っても、良いことは良いことないです。

実際、こういったコールセンターを利用した会社さんで起こったことの例です。

・ほとんど売り上げにつながらない→無駄なコスト
・顧客リストの擦り減り→売上ダウン
・顧客リストの流出や転売


基本的に、そういったコールセンターを利用した会社さんは、無駄なコストを払っただけでなく、売上ダウンしていたり、最悪、倒産しています。倒産した会社だけでも、2件くらい知っています。
やっぱり、そういったコールセンターを選ぶ会社さんは、事業に取り組む体質も悪いです。コスト以外、考えていない。

この150円というコストは、人件費や営業経費を考えると、通常、成り立たない価格です。
実際は、契約通りのコールしていないか、架電していても売れても売れなくても良い適当なオペレーションを行っているでしょう。
リストの中にスパイを数人入れておかない限り、チェックは行いにくいです。価格だけでしか選ばない会社さんは、そこまでしまえん・・・。
だから、不正が横行します。
負のスパイラルです。

経験上、コストが半分でも、コールセンターによって1/10以下の成果しか出ないコールセンターが存在するのが本業界です。人の良いオペレーターすぎて、一生懸命やっていても、結果が出ないというコールセンターにも出会ったことがあります。
だから、コールセンター選びは難しいのです。

今回の150円の例は、ほとんどが真面目に架電されていない例です。実際、他社で良い結果を出していたコールスクリプトを持ち込んだ会社さんの例では、全く結果が出なかったようなので、架電されていない可能性も高いです。
まぁ、加えて、オペレーターさんの質も異なるのでしょう。

アウトバウンドは、基本、1リストへの回数、コンタクト率、平均架電時間、成約率を加味して1件当たりの価格を評価する必要があります。
また、最初は試行錯誤でオペレーション内容を決めていくので、最初から良い成約率が示されるとは限らないので、どの時点で評価を行うかも難しかったりします。

まぁ、コールセンターに成果責任を丸投げする通販会社さんも多いですが、商品が悪けりゃぁレスは出ないです。レスがでるような商品開発時点からのコールスクリプト作りができていないと、勝てない時代になりつつあります。
ここは、最近、レスが出るクロスセル商品の開発として、私が最も力を入れている部分。

次に、値段に関わらず、かなり荒い売り方をするコールセンターさんも少なくありません。オペレーターのインセンティブ制度で運営され、ん~、なぜか関西多いかなぁ。
そういったコールセンターは、顧客リストを刷り減らすでしょう。一次的に売上ができるかもしれないですが、結果として顧客の離脱を招き、最終的に売上ダウンの方向へと向かってしまいます。
リピート型通販にとって、最悪のケース。
アウトバウンドにも、CRMの要素が求め得られる大きな理由です。

アウトバウンドは、やり方を間違えると逆効果になってしまう施策です。
だから、こういったところに通販のノウハウが存在していたりもします。面白いものです。

流出や転売などは、嘘のような話ですが、過去、非合法で流出した(エステの)顧客リストの営業を行われたことがあります。完全に法に抵触してしまいますが、関わる会社は実体がなかったり、いつでも潰せる状況になっているので、怖いものはないからできるのでしょう。
さらに、倒産しそうになった通販会社では、合法的に顧客リストを販売する例もあります。
まぁ、こういったリストを買う会社も存在するから、こういった悪質な会社ものさばってしまうのでしょうけどね・・・。

何れにしても、現在、通販では、CRM戦略やリピート戦略が非常に重要になってきています。今まで以上に、年々。
新規獲得のコストが上がっているので、クロスセルやアップセルを効率的に行えていないと、売上も利益も下降線しか描かないです。
コールセンター選びも、とても重要です。
勝ち負けは、このコールセンターの差も大きいでしょう。
先述の通り、コールセンターは価格だけでは選べません。CRMに優れたコールセンター、とにかく販売に特化したコールセンター、栄養士さん中心のコールセンターなど、さまざまなコールセンターがあり、使い分ける必要もありそうです。それこそは、通販会社さんのノウハウなんでしょうね。

今回は、珍しく、バリバリの通販の話でした。

P.S.
CRM戦略やリピート戦略が大切であることは、このページの通販方程式を見ていただけると、よりご理解いただけると思います。
通販事業(特に紙媒体や電波媒体)とは、得られた顧客を囲い込み、リピート購入で利益を出すビジネスモデルです。
通販方程式(詳細版)と商品設計・原価率
http://kuriyamayuji.doorblog.jp/archives/51462408.html


この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。