昨日の続きです。

近年、弊社の中小企業の顧客でも、個人の薬局さんやクリニックさんで小さな規模から健康食品事業を始めて、安定的に利益を出している会社さんが増えています。エビデンスベースで、比較的良い商品を作られるので、弊社と相性の良い顧客層です。
おそらく、元々、私が医師向けの健康食品事業のセミナーを行っていた関係上、得意な領域だったのですが、セミナーを行わなくなっても定期的に問い合わせが来ます。

特に、クリニックで勘違いされることが多いのですが、薬局さんやクリニックさんの商材は、付加価値が付き高く売れるであろうというのは、健康食品事業の場合、幻想です。
これだけ情報化していると、市場価格の10~20%程度高いくらいのプライシングが限界です。
某クリニック系大手通販化粧品でも、IRや新商品投入の傾向を見ていると、近年、原価率アップ&低価格化で売り上げを伸ばしておられます。

まぁ、小さな薬局やクリニックさんのオリジナルのメイン商材(オールインワンサプリなど)の場合、5000円前後で高含有(エビデンス量)設計の商品が私が考えるベストな設定かなぁと思います。小ロットで製造するので、原価率は、必然的に25%前後になってしまうでしょう。その代わり、このプライシングの場合、LTVも高めに保てると予測できるので、結果として、効率的な利益モデルを構築できると考えております。
なお、過去にも警告したのですが、プライシングを含めた商品開発を失敗すると、顧客からの信用を失ってしまい、薬局・クリニック本業にも悪影響するので注意が必要です。

実際、ECでも、商品力とLTVの関係が如実に勝ち負けへと表れ始めています。
例えば、95%賦形剤・植物数だけのゴミ酵素サプリは、ドンドン終売しています。一方、きちんと良い成分を配合し、差別化も明確にした酵素商品は、毎月定期購入も増えつつ離脱率も低く、今現在でも売上が伸びています。この商品は、体感も得やすいため、LTVも高いんだと思います。
この事例を見て、ブーム終息後に真面目な商品で展開していくことも一手なんだなぁと思いました。ブーム時は、市場が荒れますので、必ずしもベストな参入タイミングな訳でもなさそうです。

基本、弊社の自社原料や協力会社の原料を活用すれば、その収益モデルは構築しやすいです。そういったコンセプトで、原料開発を行っております。
そして、私の持論、中小企業ほど、導入期素材を活用した商品で展開していくべきだと考えます。これが、前編でも述べた「市場の創造」であり、中小企業が生き残っていく1つの手だと思います。

面白い傾向ですが、導入期の原料というのは、中小企業やクローズド販売の企業が市場を温め、次の段階でオープン販売の大手企業が大きく市場を広げます。大手さんが手を出て大きく広告活動が行われた場合、先に手を出していた会社さんが便乗して儲かるケースも多いです。
これが導入期の素材が成熟期に成長していく流れです。
大手企業さんは、導入期の素材を導入しにくい体質があります。失敗した時の担当者の責任が問われるからです。だから、中小企業さんほど、大手企業が狙わない導入期の素材を狙うべきとも言えます。
(大手企業さんも、クロスセルやテストマーケティングでドンドンチャレンジしていくべきなんですけどね・・・。)
過去の事例、反対に、いきなり大手企業が導入期の原料を採用すると、中小企業が取り扱えなくなり、市場は盛り上がりません。導入期のまま、終わってしまいやすいケースです。

こういった感じで、素材ライフサイクルは変化するので、中小企業さんは、素材ライフサイクルを意識しながら商品開発を進めていくことは、成功のためには大事なことだと思います。
1つ上の商品設計になると、成熟期・成長期の素材と導入期の素材を上手く組み合わせる必要性が出てきます。
OEM会社や販売会社に限らず、特に導入期素材の原料メーカー(中小企業)は、その導入期の素材の使い方を研究尽くさなければならないのです。弊社も、常に葛花(導入期)や山芋(成長期前期)の使い方を研究しております。
こういった努力が市場全体の規模を拡大したり、素材間でのシェア争いを変えていくのです。弊社としては、いろいろな素材と共に切磋琢磨しながら、弊社の導入期の素材を育てていければと思っております。
がんばります!

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。