アメリカの個人輸入サプリでは、アルコールによる肝機能サポートサプリというカテゴリーが無いです。
そもそも、アメリカには、ウコンやオルニチンなどのような、肝機能サポートサプリのニーズが無いようです。
それは、アルコール分解酵素の違い(差)だと思います。

アルコール代謝時に働くアセトアルデヒド脱水素酵素には、アセトアルデヒドが高濃度の時に働く「ALDH1」と、アセトアルデヒドが低濃度の時に働く「ALDH2」の2種類があり、お酒を飲んだ時には、主に「ALDH2」が働くようです。
ALDH2遺伝子には、活性型遺伝子(N)と不活性型遺伝子(D)があります。そして、アセトアルデヒドを分解する活性が充分にある「活性型」、1本の染色体にしか活性型遺伝子を持っていない「低活性型」、両方の染色体ともに活性型遺伝子を持っていない「不活性型」に分けられます。
低活性型の人は、あまりたくさんのお酒を飲むことができず、不活性型の人は、お酒をまったく飲むことができません。

白色人種や黒色人種の人は100%活性型で、アメリカ先住民やオーストラリア先住民などにはわずかに低・不活性の人が存在し、日本・中国・韓国人には低・不活性の人がかなり多く存在します。

したがって、白色人種や黒色人種がほとんどのアメリカでは、アルコールによる肝機能サポートの商品(サプリメント)の必要性が無いのです。
このアルコールによる肝機能サポートのニーズは、ALDH2遺伝子が低活性・不活性の割合が多いアジア人特有のものなんでしょうね。

まあ、弊社の酒毒を解す生薬である葛花なんて、まさにアジア市場だけの原料な訳です♪ それはそれで、結構大きな市場があるんですが。

もちろん、逆のパターンもあります。
例えば、加齢黄斑変性は、欧米では成人の失明原因の第1位で珍しくない病気ですが、日本では比較的少ないです。また、黒い色素を多く持ちブルーライトに強い人種である日本人の市場では、ブルーライト等に弱い欧米人ほどブルーライト対策にニーズはありません。
加齢黄斑変性やブルーライトに有効なルテインなどの市場サイズに影響しています。日本では、ブルーベリーが強く、ルテインの市場はまだまだアメリカほどではありません。必ずしも、アメリカで大きな市場を持つものが日本で大きな市場を築くとは限らないのです。

一方、加齢黄斑変性に関しては、人口の高齢化と生活の欧米化により近年著しく増加しており、失明原因の第4位となっています。50歳以上の人の約1%にみられ、高齢になるほど多くみられます。現代人は、PCやスマホなどブルーライトを発生する機器の利用時間の伸びと伴い、今後、ルテインのニーズが伸びる可能性は高いです。

市場では、ニーズやウォンツによって売れるものが変わってきます。そして、それらのニーズやウォンツも、人種や国でも変わりますし、時代などによって常に変化します。
それらの変化に柔軟に対応する必要性があるのです!

この記事の筆者:栗山 雄司 (博士)

株式会社アンチエイジング・プロ 常務取締役 COO / SloIron Inc. 取締役 技術アドバイザー / 順天堂大学医学部 総合診療科 研究員

kuri photoM2 広告にも精通し、日々、売れる商品(;顧客の成功)のことを考え、健康食品サプリメントの機能性原料開発やOME製造を行っています。